Lullaby | 恋した過去を、ルバーブ・レモネードに変えて。ジョン・アップダイクの名言と『ビフォア・サンセット』が教えてくれる、忘れなくていい恋のこと

恋愛詩 好きな人を忘れる方法がない
好きな人を忘れる方法がない

後ろを振り返ってしまう。
もう終わった恋なのに、
駅のホームで似た背中を見つけたり、
ふとした香りにあの頃の季節を思い出したりする。

理由なんて、ないのかもしれない。
ただ、そこにあったものが、
本当にそこから消えてしまったとは、
心のどこかでまだ信じられない。

もしかすると
「忘れられない」のではなく、
まだ自分の中で、
静かに終わり方を探しているだけなのではないだろうか。

A little lullaby for a love long gone.

à partir du 13 septembre 2026
一かけらの今 a l’honneur de soutenir

Lullaby

Created by 一かけらの今

後ろを見るだけの時間
理由はないの
あなたが近くにいた時は
あなたが去っていくとは
思わなかった
そしてまた悲しみ
そしてまた夢

_________________
Poetry by ある光

人は、恋をしているときにこそ、もっとも生きている

恋が終わったあと、
私たちはつい
「前を向かなければ」と思います。

写真を消したほうがいい。
思い出さないほうがいい。
次の恋を探したほうがいい。

でも、「Lullaby」の彼女がしているのは、
復縁を迫ることでも、
彼を追いかけることでもありません。

ただ、後ろを見る。
それだけです。

彼女自身にも、
なぜそうしてしまうのか、
はっきりとは分からない。

「あなたが近くにいたときは、あなたが去っていくとは思わなかった」

だからこそ今になって、
その時間の輪郭だけが、
少しずつ浮かび上がってくる。

恋が終わったという現実と、
まだ終わっていない心。
そのあいだに立っているような感覚。

ジョン・アップダイクには、
こんな恋愛の名言があります。

« We are most alive when we’re in love. »

— 人は、恋をしているときにこそ、もっとも生きている。

この言葉は、
恋をしている時間が
「幸せだった」というだけではなく、
そこに自分の感覚が、
いつも以上に鮮やかにあったことを
思い出させてくれます。

好きな人から届く短いメッセージで
一日が明るくなったり、
待ち合わせのために選んだ服を
何度も鏡で見たり。

何気ない道さえ特別に見えて、
いつもの音楽が、
二人だけのサウンドトラックになる。

だから彼女が振り返っているのは、
単なる「過去の恋」ではないのです。

あの人といた、
自分が一番生きていた時間。
それをもう一度、確かめている。

過去を見ることは、
前に進めていないことではありません。

何度も思い出してしまうほど、
その時間を本当に生きていた
ということなのです。

若い頃は、自分と深くつながれる人なんて、これからいくらでもいると思う。でも人生を重ねると、そんな人には、ほんの何度かしか出会わないんだと分かる

『ビフォア・サンセット』
という映画があります。

リチャード・リンクレイター監督によるこの作品では、
かつてウィーンで一夜をともに過ごしたジェシーとセリーヌが、
9年後、パリで偶然再会します。

二人はそれぞれ別の人生を歩んでいました。
それなのに、あの一夜だけは、
どこか心の中から消えなかった。

ジェシーは、
その夜をもとに小説を書いています。
セリーヌもまた、
その出来事を忘れたわけではありません。

二人がパリの街を歩きながら話すのは、
単なる「昔の恋」ではありません。

あのとき自分たちは
何を感じていたのか。

あの人と出会わなかった人生は、
どんなものだったのか。

そして、あれほど深く誰かとつながる瞬間は、
人生に何度あるのだろう。

『ビフォア・サンセット』が切ないのは、
若い二人が再会するからではありません。

一度きりのように思える時間を、
大人になった二人がもう一度
見つめ直すからです。

若い頃には、
「こんな人はいくらでもいる」と思ってしまう。

もっと好きになれる人も、
もっと分かり合える人も、
これから先にたくさんいると思う。

でも人生を重ねていくと、
少しずつ分かってくるのです。

自分の奥深くまで届く人には、
そう何度も出会わない。

あのとき、
その人が特別だとは知らなかった。

失ってから初めて、
「ああいう人は、人生に何人も現れるわけじゃなかったんだ」
と気づく。

それは、
過去に戻らなければならない
という意味ではありません。

もう会えないとしても、
結ばれなかったとしても。

その人との時間が、
自分の人生にとって特別だった
という事実だけは、消えない。

明日どうなるとしても、私たちには今日があった

恋が終わったとき、
「忘れなきゃ」と思うほど、
思い出してしまうことがあります。

でも、忘れることを急がなくてもいい。
悲しくていい。
だって、それだけ愛したのだから。

胸が痛むのは、
恋が無駄だったからではありません。
むしろ反対です。

あなたの中に、
これほど深く残る時間だったからこそ、
簡単には消えない。

いつか、
その傷から何かが生まれることがあります。

誰かにやさしくできることかもしれない。
ひとりの夜を、
以前より静かに過ごせることかもしれない。

あるいは次の恋で、
自分が本当に大切にしたいものを
知っていることかもしれません。

あの恋は終わった。
でも、あの恋をした自分まで
消えるわけではないのです。

fin d’un début
ある始まりの終わり

恋した過去を、ルバーブ・レモネードに変えて

“こんな夜”におすすめのドリンクを紹介。

失恋した日の飲みものは、
少しだけ酸っぱいものがいい。
私は最近、そんなことを思います。

おすすめしたいのが、
ルバーブ・レモネード(Rhubarb Lemonade)。

ルバーブは、
北欧の料理やお菓子などでも
親しまれている植物で、
デンマークではレモネードの素材としても登場します。

きれいな淡いピンク色。
レモンのきゅっとした酸味に、
ルバーブの少し青くて、
どこか懐かしいような香り。

甘いだけではないところが、
今の気分にちょうどいいのです。


Created by 一かけらの今

ルバーブ・レモネードのレシピ

ルバーブ・レモネード(2杯分)

  • ルバーブ……100g
  • 砂糖……40g
  • 水……150ml
  • レモン果汁……40ml
  • 炭酸水……250〜300ml
  • 氷……適量
  • レモンの輪切り……お好みで
  • ミント……あれば少々
  1. ルバーブを煮る

    ルバーブを1〜2cmくらいに切り、鍋に入れます。砂糖40g、水150mlを加えて中火にかけます。沸騰したら弱火にして、10〜15分ほど煮ます。ルバーブが繊維状に崩れ、赤〜ピンク色のシロップになればOKです。

  2. こす

    ザルなどでこして、ルバーブシロップだけを取り出します。果肉を少し残してもおいしいですが、透明感のあるカフェ風にするなら、しっかりこすのがおすすめです。粗熱が取れたら冷蔵庫で冷やします。

  3. レモンを加える

    冷えたルバーブシロップに、レモン果汁40mlを加えます。ここで味見をして、「ちょっと酸っぱいかな?」くらいならちょうどいい。炭酸水を加えると、ほどよい味になります。

  4. 炭酸水で割る

    グラスに氷を入れ、ルバーブシロップ+レモン液と炭酸水を、1:1〜1:1.5くらいの割合で注ぎます。そっと混ぜれば完成です。

できあがったグラスを窓辺に置いてみる。夕方の光に透けるピンク色を眺めながら、昔の恋を少しだけ思い出す。

そして、「あの頃の私は、あの人を本当に好きだったんだな」と、責めるでもなく、笑うでもなく思う。

それでいいのだと思います。


忘れられない恋があるなら、
無理に忘れなくてもいい。

何度も振り返ってしまうのは、
あなたが前に進めていないからではなく、
その時間を本当に愛し、
本当に生きたから。

いつかその恋は、涙ではなく、
あなたの中に残った
小さな光になるのだと思います。

じゃあ、またね!

Une image n’est rien sans vos mots.


― あなたの言葉のない image は、
あなたの言葉なしには何ものでもない

Une image, sans vos mots,
c’est un plan sans voix.

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a film by 一かけらの今
illustration by Velvet Easter Corp.

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