恋|何度も恋をして、何度も手放してきた夏について、もう謝らなくていい。サガンの言葉と、爽やかなオレンジ・エスプレッソ・トニックが、繰り返すときめきをそっと抱きしめる。
夏が終わるたびに、
同じ人を想い出すわけではない。
それでも、同じくらいの強さで、
また誰かに恋をしてしまう。
そんな自分を、
少しだけ持て余しているあなたに向けて、
今日はこの詩を届けたい。
à partir du 27 septembre 2026
一かけらの今 a l’honneur de soutenir
恋

夏の終わりになると
想い出す
プールの水面の
煌めきは
私の心模様
日焼けした
君の背中は憧れ
いくども繰り返した
ときめきと諦め
季節の中で
想いは息づいて
きっと永遠に
また来る夏に
恋するだろう
この恋を求める気持ちの奥にあるもの
「いくども繰り返したときめきと諦め」
この一節に、
彼女がこれまで何度も恋をしては、
その恋を手放してきた記憶が滲んでいる。
一つの恋の物語というより、
“夏になると恋をして、夏が終わると手放す”という、
パターンそのものへの、
かすかな自己認識があるのだと思う。
けれどこの詩に、
悲観的な響きはあまりない。
「日焼けした君の背中は憧れ」という一節には、
まだ瑞々しい、素直な高揚感がある。
そして最後の
「きっと永遠に、また来る夏に、恋するだろう」
という一行は、
諦めというより、
むしろこの巡りゆくパターンそのものを、
静かに受け入れ、
肯定しているようにも読める。
フランスの小説家、
フランソワーズ・サガンは、
こんな言葉を残している。
« Je ne sais pas encore aujourd’hui si ce goût de conquête cache une surabondance de vitalité. »
— この恋を求める気持ちの奥にあるのが、あふれるほどの生命力なのか、今でも私にはわからない。
『海がきこえる』(望月智充監督)|後悔よりも、あの夏を生きたことそのものへの愛おしさ
高知の海辺の町を舞台に、
高校生の杜崎拓が、
転校生の里伊子に振り回されながら過ごす、
ほろ苦い青春の記憶を描いた作品。
恋は実らず、
すれ違いも多いけれど、
物語全体を包むのは、
後悔よりも、
あの夏を生きたこと
そのものへの愛おしさ。
この作品が持つ、
光と水の記憶が重なるような透明感は、
この詩の世界観と、
とても近い場所にある。
何度も恋に落ち、何度も手放してきたこと。それは「何度でも心を開ける豊かさ」だから
何度も恋ができるということ自体が、
すでに一つの才能であり、
贈り物なのだと思う。
「なんで続かないんだろう」
「ちゃんとした恋をしなきゃ」と、
急かされる必要はどこにもない。
恋の結末がどうであれ、
その渇望自体は、
一度も間違っていなかった。
何度も恋をして、
何度も手放してきたこと。
それは”うまくいかない人生”の証ではなく、
“何度でも心を開ける豊かさ”の証なのだと、
そう伝えたい。
fin d’un début
ある始まりの終わり
hitokakeranoima seleção
Carita Holmström — “All Of A Sudden I Love You”
hitokakeranoima seleção
Carita Holmström — “All Of A Sudden I Love You”

“こんな午後”に聴きたい「hitokakeranoima seleção」は、カリータ・ホルムストロームの「All Of A Sudden I Love You」(冒頭のYouTube動画から聴いてみてね)
「突然、あなたを愛してるって気づいたの / 突然、あなたに夢中であることに / どうしてしまったのか、自分でもわからないの / ただ誰よりも、あなたを愛してることだけは分かるわ」
切ないピアノの前奏から、シンプルでジャジーなアンサンブル、儚げなカリータ・ホルムストロームの歌声は、キャロル・キングを彷彿とさせる。
クラシックギターのフレーズと切ないメロディーが絡まりながら、「もう偽ったり、嘘をついたりしたくないの」と歌う、至上のラブ・ソング。
日本では、1999年のディスク・ガイド『ひとり』で紹介された後、2002年に発売された人気カフェ・コンピレーション・アルバム『カフェ・アプレミディ・スーリー(Café Après-midi – Souris)』に収録され、「知る人ぞ知る」名曲として、今も「カフェ」を愛する人のクラシックとして記憶に残っていると思う。
カリータは、1974年のユーロビジョン・ソング・コンテストに、フィンランド代表として「Keep Me Warm」で出場し、13位という結果を残しているという経歴。北欧好きなら、心にそっと留めておきたい名前。
この曲が収録されたアルバム『We Are What We Do』は、1973年リリース。ジョニ・ミッチェルや、レスリー・ダンカンなど、女性SSWが好きな人もチェックしてね。
「突然、あなたを好きになった」というタイトルと、「きっと永遠に、また来る夏に、恋するだろう」という詩の結び。そのどちらもが、恋の”予測できなさ”を、恐れるのではなく、そっと受け入れているように聞こえる。
“Chaque été, l’amour arrive encore, tout à coup.”
(毎年夏になると、恋はまた、突然にやってくる。)
A saudade também tem melodia.
オレンジ・エスプレッソ・トニック(Orange Espresso Tonic)
“こんな夜”におすすめのドリンクを紹介。

東欧諸国では以前から親しまれていたという、
エスプレッソとオレンジの組み合わせ。
TikTokでの拡散をきっかけに、
世界的なトレンドとして再燃している一杯。
日本でも、
高円寺のPorta Coffee Standや、
Eataly銀座シックス(シチリア産オレンジを使用)などで、
この夏のメニューとして提供されている。
柑橘の爽やかな酸味と、
エスプレッソのほろ苦さが、
グラスの中で美しい2層をつくる。

| 調理時間 | 約5分 |
| 分量 | グラス1杯分 |
| 難易度 | ★★☆(5ステップ・層を保つ注ぎ方にコツあり) |
材料(1杯分)
- オレンジジュース(できればフレッシュ搾り):100〜120ml
- トニックウォーター:60〜80ml
- エスプレッソ:1〜2ショット(30〜60ml)
- 氷:グラス一杯分
- オレンジスライス:1枚(飾り用)
作り方
STEP 1

- グラスに氷をたっぷり入れる。
STEP 2

- オレンジジュースを、グラスの半分くらいまで静かに注ぐ。
STEP 3

- トニックウォーターを、氷に当てるようにゆっくり加える。
STEP 4

- エスプレッソを、いちばん上の氷にそっと当てながら、静かに注ぐ。比重の差で、自然と美しいグラデーションができる。
Enjoy!

- オレンジスライスを、グラスの縁に飾って完成。
何度も恋をして、
何度も手放してきたこと。
それは失敗じゃなくて、
何度でも心を開けるという、
あなたのいちばんの豊かさ。
じゃあまたね!

Une image n’est rien sans vos mots.
― あなたの言葉のない image は、
あなたの言葉なしには何ものでもない
― Une image, sans vos mots,
c’est un plan sans voix.

poetry by 真白(ましろ)といいます。
a film by 一かけらの今
illustration by Velvet Easter Corp.
for those who still believe in love.
まだ愛を信じている、すべての人へ。
あなたの「恋」を、ぜひここに
誰かに話すほどではないけれど、
自分の中では忘れられない瞬間。
言葉にできないほど切なかった夜や、
今でも胸が温かくなる記憶。
あなたの心の中にある大切な『恋』の欠片を、
少しだけお裾分けしていただけませんか?
※お送りいただいたメッセージは、編集部にて大切に拝見いたします。
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