無口な恋とシンパシー
![無口な恋とシンパシー](https://hitokakeranoima.com/wp-content/uploads/2021/07/800-5503997_1500.jpg)
わたしの声
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遠くで鳴いている
鳥も海も裏側で
あなたへと向けている意識を
まぶたの端へと
追いやるたびに
わたしの声は
比例して聞こえてきた
声が大きくなるごとに
発する前の呼吸は長くなる
答えはこんなに近くに
存在していた
背く
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小さく肩を落として
帰路についたまま
玄関で往生している
ぼんやりとモヤまで
部屋についてきた
あなたは背中を向ける
回数が増えて
声だけでは判明しない
釈然としないこと
わたしの後ろについて残る
雨足
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風が長くなると
窓から夏が流れてくる
影は軽くなっていく
少しあごを上げ
カレンダーの日をめくる
予想外のタイミングで
雨足は騒ぎ走り去る
アスファルトの通り
あっという間に変色して
そうだ普段より
空を読む時期だ
シンパシー
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正解さがしのシンパシーに
終止符のピリオドを打つ
いつのまにか
身についていた反応
匙を投げていい
あなたの前
素直さは実りになるといい
ささいな変化に感づく
あなただから
シンパシーの頷きは
もうやめていこう
星座とロマン
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寝転んで星座を眺めると
静かな夜でも
音にあふれて
光にうずく
暗闇で眼は見開くもの
置き忘れていた
じっと動かない恋
気づいたときに
紐付ける考え
巡る創造を
止めてしまうのかな
Journey in to Chapter II
第2章へ続く
Chapter II
一つの光景
つぐむ
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沈黙が流れても
気にならなければ
近しい間柄なのだと
耳にした
けど底にある
わたしの本音
シンプルなことばかり
言い表すのは簡単
あなたへ発する声は
脆い分だけ鋭いから
大切につぐむ
猫の背中
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しーっと息を静めて
庭にきた猫がいる
何を考えているのか
謎の眼差し
水たまりをひょいと飛ぶ
自由に伸びる背中
追いかけた姿は
知りたい憧れが
延長にあって
引き寄せられた
あなたによく似た
引力をもっているから
細波
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わたしが投げれば
跳ね返ってくる
石とボール
反応した弾みを帯びて
水面に投げ入れる
さざ波は細やかに揺らぎ
影響した模様を広げ
向こう側へ渡っていく
残響を覚えるように
なにか焼きついた光景
ダイアローグ
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話さないと
わからないこともあるし
無言で沁みわたる
しあわせな温度もあって
どちらも汲み取り伝わる
コミュニケーションだった
ふたりの感情表現
ひとつじゃなく違うのが
自然なダイアローグ
注意を計らうこともなく
夕焼け
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焦げた夕日を
前に立ちつくすと
まだ時々いとしくなる
ふと時々さみしくなる
訳もなく胸が騒ぐのは
お祭り前の静けさに
どこか気配が似ているせい
なにかが欠けると
なにかを招く予感
今度あなたに会うときには
美しく感じるままに
過ごせそう
fin d’un début
ある始まりの終わり