恋を温めていく
two birds
止まり木を岬のようにして
着地とはじまりを重ねる
鮮やかなスタッカート
二羽の鳥が舞う
交互に羽ばたいて
軌跡は自分のものにして
時折、相手を見やる
空をついばみながら飛んで行く
蜃気楼
魂には形がないって
いつか君はいいそうだけど
私には見える
愛の形をそれとしていい?
2人が寄り添うとね
ソーダ水みたいにはじけて
コップのふちに
新しい街が見える
蜃気楼の影に隠れたものを
浮かび上がらせる 引力
フロート
賑わう通りの路地を少し入れば
街のボリュームは絞られて
心の中のざわめきが響いてくる
カラン カラン
たくさんの時を重ねた喫茶店のベル
カラン カラン
溶けたフロートのグラスを滑る雫
何もかも進んでいくけど
何もかも閉じ込めたい
ニアリーイコール
誰もいない教室
愛 ≒ 君
そんな方程式を黒板に
ブーゲンビリア色のチョークで
書いては消していた
ホロホロと削れるピンクで
君に伝えたいことたくさんあるの
だけど言葉にならなくて
I ≒ YOU
箱庭
太陽を少しだけ分けてもらって
季節を知らせる花が
かわるがわる顔を出す
そんな小さな箱庭
天使が覗きにきても
気がつけないようなこの場所で
お互いの名前を歌にした
私の孤独の形にピッタリと寄り添う
君の声は
夜になれば月明りを呼んでくれる
Journey in to Chapter II
第2章へ続く
Chapter II
一つの光景
素粒子
ただ歩いて
たまに手をつないで
ふいに口ずさんだ歌詞の続きが
思い出せなくて
なるべく検索しないで
思い出そうよって
笑って
街灯の下で、言葉じゃなく
明日を約束し合う
すごくシンプルな 答え合わせ
素粒子のソリューション
フォレルスケット
春隣の頃に
君の名前を初めて呼んだ
あの喫茶店の前で
桜色の風が吹く
そういえば花には音がない
揺れ方やその香り
クスクス笑っているみたいだ
そんなことを思うたび
早く君の元に駆けていきたくなる
ちゃんと私が見た世界を
伝えられるように
何度も言葉を推敲するのに
君の笑顔の前では
無敵にも無力にもなれる
骨伝導
距離。
速さと時間を掛けた単位
つがいの鳥が
気遣い合いながら飛ぶ速さと
2人が少しずつ重ねてきた
時間を掛けてみる
歩いてきた距離は
こんな風に求めればいいかな
私と君の間の距離は
骨伝導で声が聞こえるくらい
数式に当てはまらない
箱庭のヘクタール
願い
2人が手を取り合える
この世界を愛したい
トパーズみたいに透き通る
空に向かって
自然に沸き起こる
静かに脈打つ感情を
忘れないでね、って保存した
恋を温めていく
君が私の手を引く
私は君の背中を押す
時には飛べそうなくらい
絡まりながら歩いて
距離も時間も速さも
ただ未来に向かっているものだって
ちゃんとわかりながら
恋に浸っている
恋を温めていく
fin d’un début
ある始まりの終わり