風と冬空のパレット
ひまわり
いつもと
ちょっと違うリップ
ほんの少し
大人っぽいチェスターコート
肌のお手入れも
いつもより時間をかけて
丁寧に
新しいわたしが
顔をのぞかせる
太陽に向かって伸びていく
ひまわりみたいに
憧れのあなたに向かって
少しずつ
少しずつ
背伸びする
あなたの色
ときおり分からなくなる
自分に色があるとしたら
それはいったい
どんな色なのか
あたたかい色なのか
つめたい色なのか
かわいい
すてき
かっこいい
やさしい
あなたの色は
どんな色ですか
あなたに合う色は
どんな色ですか
ふたりがパレットで溶け合ったら
見たこともないような
きれいな色になりたい
お気に入りの靴
靴屋さんで
一目ぼれしたパンプス
上品なつま先のリボン
艶やかなワインレッド
さっそくあなたに見せたくて
デートに履いていったけれど
お気に入りは
私には優しくなかった
わたしを輝かせては
くれなかった
途中で歩けなくなって
ごめんなさい
気を遣わせてしまって
ごめんなさい
痛む小指をなでながら
わたしはそっと涙した
子どもっぽいですか
ピンクは
子どもの色ですか?
ピンクは
もう卒業ですか?
わたしに安らぎをくれる
桃色、桜色、薄紅色
あなたに会うときは
ほんの少しでいいから
ピンクをそっと
忍ばせていたい
完璧な角度
女の子はいつも
口角を上げていなきゃ
あなたと出会って
だんだん意識するようになって
かわいい笑顔を
作ろうとするけれど
いつもどこかぎこちない
真顔のほうが
まだましかも、なんて
いつか完璧な角度で
口角を上げられますように
Journey in to Chapter II
第2章へ続く
Chapter II
一つの光景
ままならない
この世界は
ままならないことで
あふれている
周りの人たちから
理不尽なことを言われても
それでもわたしは
前を向くことを忘れない
あなたが笑顔をくれたから
あなたに笑顔を
見てもらいたいから
野菜とわたし
今日は何を作ろうかな
トマト、キャベツ
きのこにブロッコリー
あなたの顔を
思い浮かべながら
夕ごはんの献立を考える
ルバーブを砂糖で煮詰めて
おいしいジャムも作りましょう
ひょっこり顔をのぞかせる
野菜たちの姿もいとおしい
あたたかな時間
冬の魔法
冬はね
女の子をかわいくする
冬ってね
女の子がもっと輝く
魔法をかけてくれるの
マフラー
手ぶくろ
ニット帽
ふわふわ
もこもこ
囲まれて
寒いなら手を出して
わたしが
あたためてあげるから
視線
胸が高鳴る
視線が合う
対角線上で
結ばれるわたしたち
その意味を
ずーっと考えてしまう
偶然?それとも
でもいちばん考えてしまうのは
すぐにそらしてしまった
わたし自身のふがいなさ
生まれ変わる
あなたの好きな
音楽
小説
映画
ポップアート
むさぼるように
わたしの中に取り込んだ
ぜんぜん知らない世界
未知のあなたによって
わたし自身が
生まれ変わっていく
fin d’un début
ある始まりの終わり