夕陽が落ちる時刻

恋愛詩集

視線

出典: unsplash.com

光に透ける淡い髪


柔らかそうな猫っ毛


頬にしたたる汗


レブロン18の


バスケットシューズ


忙しなく眺めていたら


意味ありげな隣の視線


目配せをされて


ようやく気づくの


わたしは


彼を

会えない理由

出典: unsplash.com

あなたに会うって


特別なこと


あなたを深く知っていて


わたしを深く知ってもらえてる


多分、その通りだわ


だから


気づきたくなかった


わたしは彼をただ知っていて


彼はわたしをよく知らない


わたしは彼に一度も


会っていなかった

髪を摘む

出典: snapmart.jp

前髪を1センチ切って


新しい自分になった気がして


鏡を覗いてみるけれど


それが思い違いだって


気づかないほど子供じゃなくて


隠さずにいれるほど


大人じゃなくて


前髪が伸びるまで


わたしは髪を摘む

彼の目線

出典: snapmart.jp

部屋の中でだけ履いている


ヒールの高いパンプス


彼の目線に


近づけるかもなんて


出来もしないのに考えて


出来もしないから履けなくて


一歩を踏み出すことが


出来ない弱いわたしは


並べられた靴を眺め


スニーカーに足を通す

彼の隣

出典: unsplash.com

名前を呼ばれて振り返り


視界に映る彼女と彼


嬉しそうに手を振る彼女


窓越しの彼女に


手を振り返しながら


ごめんねと心の中で呟く


窓に映った自分を見て


気づいたの


ごめんね


彼の隣にいるあなたに


微笑むこと


できなかった

彼から呼ばれた名前
イヤフォンを着けているみたいに
他の音が消えてしまった
彼女を通して知られた名前
嬉しいのに哀しくて
単純だけど複雑で

Journey in to Chapter II
第2章へ続く

Chapter II
一つの光景

言葉

出典: unsplash.com

彼との共通点を数えてみた


分かってはいたけれど


片手の指でも余ってしまうほど


笑っちゃうほど少なくて


違う二人の方がうまくいくって


誰が言ったのかも覚えていない


そんな根拠のない言葉に


今日も縋っている

答え

出典: unsplash.com

零れ落ちそうな


ひとつひとつを零さないように


両手で包んでみるけれど


指の隙間から零れ落ち


わたしの手には


収まりきれない


一方通行な想いは


そういうものと


考えても考えても


答えはなくて

無重力

出典: unsplash.com

長い髪をなびかせて


綺麗に塗られた唇で


ころころと笑う彼女は


とん、と彼の肩に触れ


ひょい、と顔を覗き込み


どこまでも


軽やかで自由で


月のうさぎがいたとしたら


それは彼女のようでしょう


きっと彼女は無重力

今日

出典: unsplash.com

今日こそは


今日こそはと


鏡の向こうの自分に願うのに


一つに束ねた髪の毛


リップクリームだけの唇


彼の後ろ姿の影にも


触れず


只々


横顔を遠く眺め


身動きがとれない


重い足


今日も重力が邪魔をする

夕陽が落ちる時刻

出典: unsplash.com

通い慣れた古本屋


本棚越しに見えた彼


いつものように隠れそうになるのを


わたしの中の何かが


必死に止めた


それはきっと昨日


泣いたわたし


本が好きなの、と尋ねる彼に


好きだよ、と


本を栞に伝えるわたし


彼の赤い頬を見て


夕陽が落ちる時刻を知る

fin d’un début
ある始まりの終わり

一かけらの今

310,854 views

あなたに告白するのは きっと 恋の終わり あなたをあきらめることは きっと 恋の始まり 思い出だけ それでいいの いつかは今が コワくなるから

プロフィール

relation

about

うれしいって本当は、悲しくてつらいこと

かなしいって本当は、やさしくてあたたかい

小さなバラの雨が、今日も明日も降って

心は涙になる
about

recommend