プレゼント | 忘れられない恋と、テーブルの右隅の余白。ジョン・ボウルビィの愛着理論とカルダモンラテの香りが、無理に立ち直ろうとしない心を静かに全方向から抱きしめる。

恋愛詩「プレゼント」のイメージ画像です。
好きな人を忘れる方法がない

コラムニストの私です。

大学で哲学書をかじっていた頃、
よく恋愛の詩を読んでいました。

恋愛の痛みも喜びも、
言葉にすることで少しだけ形を変える。
そんな魔法が、
詩にはあるんですよね。

7月5日の本日は、
ステッセル☆寅太郎様の恋愛詩
『プレゼント』をご紹介。
@tiisana_zenshin

終わってしまった恋と、
部屋の片隅に取り残された
小さな箱のような「手放せない感情」が、
とてもリアルに、
そして静かに描かれています。

立ち止まってしまった心との
向き合い方について、
考えてみましょう。

A melody for the moment you decide to give yourself a break.

à partir du 5 juillet 2026
一かけらの今 a l’honneur de soutenir

プレゼント

Created by 一かけらの今

背中ニキビを気にする
貴女からのプレゼント
四ヶ月もの間テーブルの右隅
部屋の廃れていく様を
全方向から眺めている

軽いとも重いとも言えない
貴女からのプレゼント
少し辛そうな笑顔と一緒に
四ヶ月もの間テーブルの右隅
もう逢えない様を
全方向から眺めている

伝えられなかった想いは、自分自身にも伝えられないままになる

« What cannot be communicated to the mother cannot be communicated to the self. »
— 誰かに伝えられなかった想いは、自分自身にも伝えられないままになる。

愛着理論の創始者である精神科医、
ジョン・ボウルビィの言葉です。

深い気づきを与えてくれる
恋愛の名言として、
私のノートにもずっと
書き留められています。

ステッセル☆寅太郎様の
恋愛詩『プレゼント』を読んだとき、
私は真っ先にこの言葉を思い出しました。

« 背中ニキビを気にする 貴女からのプレゼント »

「背中ニキビ」という、
ごく私的で飾らない言葉。
それは決して特別な日の顔ではなく、
相手の「素の姿」を知るほどに、
お互いが深く、
近い距離にいた証です。

そんな彼女からのプレゼントが、
「四ヶ月もの間テーブルの右隅」に
置かれたままになっています。

四ヶ月。
それは、忘れようとしても忘れられない、
けれど動かすこともできない、
痛みを伴う具体的な時間です。

テーブルの右隅からプレゼントが眺めている
「部屋の廃れていく様」は、
きっと主人公の心象風景そのものなのでしょう。

生活の輪郭が少しずつぼやけていくような、
深い喪失(グリーフ)の只中にいる自分。

「もう逢えない様」という
決定的な現実のそばには、
「少し辛そうな笑顔」という、
もらった瞬間の記憶がまだ
生々しく張り付いています。
手放せない愛着が、
そこにはあります。

こういうとき、
周りはつい
「早く忘れて、次に行きなよ」
と言いがちです。

でも、そうじゃない。
無理に処理しなくていいんです。
「まだ悲しいのだ」というその感情に
ちゃんと名前をつけてあげること。
悲しみのプロセスを、
ゆっくり歩いてもいいのだと
自分に許可を出すことが、
今は何より大切なのです。

今の状態から抜け出せない、それでも生きていく

映画『マンチェスター・バイ・ザ・シー』(2016)を
ご存知ですか?

深く傷ついた主人公が、
喪失を「乗り越える」ことを最後まで拒む、
とても美しい、けれど痛切な物語です。

この映画の核心は、
「立ち直る」ことを
ゴールにしていない点にあります。

主人公は
「自分は今の状態から抜け出せない。
それでも生きていく」
という静かな決意(あるいは諦念)を抱えたまま、
物語は幕を閉じます。

悲しみがすっきりと
解消されないまま終わることで
有名な作品です。

悲しみが癒えなくてもいい。
“まだ立ち直れていない自分”を、
決して責めなくていいんです。

『プレゼント』の中で、
四ヶ月間ずっと置かれたままのあの箱のように。

無理に引き出しの奥に隠したり、
捨てたりしなくていい。
立ち止まったままでも、
私たちは息をして、
今日を生きているだから。

悲しみや未練を「無理に解決しようとせず、心の中でゆっくり熟成させることの大切さ」

「あの時、もっとああしていれば」
「いつまでも片付けられない自分は、
どこかおかしいんじゃないか」

そんなふうに自分を責めてしまう夜には、
日本の臨床心理学の第一人者である
河合隼雄さんの考え方を思い出してみてください。

河合さんは著書の中で、
悲しみや未練を
「無理に解決しようとせず、
心の中でゆっくり熟成させることの大切さ」
を繰り返し説いています。

「片付けなきゃ」と焦るのではなく、
「今はまだ、そこに置いておいていいんだよ」と、
自分自身に優しく語りかけてあげてください。

「少し辛そうな笑顔」を
いつまでも思い返してしまうのは、
それだけあなたが、
あの関係を、あの人を、
深く愛していたからです。

心の中で悲しみを熟成させた先には、
きっと気づくはずです。
たとえこの恋が終わってしまったとしても、
誰かをそこまで愛したという事実そのものが、
あなたの内側に「優しさ」という消えない何かを
残してくれたことに。

それは決して無駄な時間ではなく、
あなたがもっと輝くための、
かけがえのない宝物なのです。

fin d’un début
ある始まりの終わり

心を解きほぐす一杯。北欧の香り、カルダモンラテ(Kardemummalatte)

“こんな夜”におすすめのドリンクを紹介。

悲しみが寄り添う夜には、
温かい飲み物が欠かせませんね。

フランスのカフェオレも好きですが、
今夜は少し気分を変えて、
北欧から届いた一杯をご紹介します。

最近、アメリカやイギリスのカフェでも
定番になりつつある
北欧発の輸出フレーバー、
「カルダモンラテ(Kardemummalatte)」。

「スパイスの女王」と呼ばれるカルダモンは、
シナモンよりも少し大人っぽく、
清涼感のあるスパイシーな香りが魅力。

北欧のフィーカ(Fika:お茶の時間)には
欠かせないスパイスなんですよ。


Created by 一かけらの今

【おうちでできる簡単レシピ&ちょい足し】

日本でも、スーパーのスパイスコーナーにある「カルダモンパウダー」で簡単に再現できます。

Recipe

  • マグカップに温かいミルクを注ぐ。
  • エスプレッソ(または濃いめに淹れたドリップコーヒーやインスタントコーヒーでもOK)を合わせる。
  • カルダモンパウダーを「ひとつまみ」パラリと振りかける。お好みで少しのお砂糖やハチミツを。

いつものラテにほんのひとつまみ追加するだけで、シナモンよりも珍しく、ちょっぴりエキゾチックで写真映えするスパイス感が楽しめます。カルダモンの香りは心を落ち着かせる効果もあると言われているので、眠れない夜の読書のお供にもぴったりです。とっても美味しいですよ!


恋の痛みも、
部屋の隅のプレゼントも、
今はそのままに。

悲しみと一緒に
温かいラテを飲んで、
ゆっくり眠りましょう。

あなたの心が、
いつか自然に前を向けるその日まで。

素敵な夜を。

Une image n’est rien sans vos mots.


― あなたの言葉のない image は、
あなたの言葉なしには何ものでもない

Une image, sans vos mots,
c’est un plan sans voix.

#恋詩絵 Created by 一かけらの今

「プレゼント」のリプライ欄にある #恋詩絵 は、リポストフリーの画像素材としてご利用いただけます。

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poetry by ステッセル☆寅太郎
a film by 一かけらの今
illustration by Velvet Easter Corp.

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for those who still believe in love.
まだ愛を信じている、すべての人へ。

○掲載されている作品の著作権はステッセル☆寅太郎様に帰属します。

※お送りいただいたメッセージは、編集部にて大切に拝見いたします。

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あなたに告白するのは きっと 恋の終わり あなたをあきらめることは きっと 恋の始まり 思い出だけ それでいいの いつかは今が コワくなるから

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