手を伸ばしても | なぜ貴方じゃなきゃダメなんだろう。エーリッヒ・フロムの愛の定義と、ディアボロ・ヴィオレットの淡い紫に守られて、不器用な大人の恋を愛おしむ夜。
雨上がりの紫陽花が、
夕暮れの街に色を添える季節。
Tomomi ☕️様の恋愛詩
「手を伸ばしても」
をご紹介。
@1001tomom
どこかノスタルジックで、
胸の奥がキュンと切なくなる詩。
今回は、不器用で、
だからこそ愛おしい私たちの
恋の迷路を紐解くヒントを、
いくつかの物語や
言葉と共に探してみようと思います。
à partir du 21 juin 2026
一かけらの今 a l’honneur de soutenir
手を伸ばしても

貴方にだけイラつくのは
どうしてだろう
貴方にだけ悲しくなるのは
どうしてだろう
貴方が見る世界に居たいのに
怖くて時々何も言えなくなる
愛しくて切なくて…
欲しい言葉はいつも貰えない
なのにどうして
貴方じゃなきゃダメなんだろう
あなたを愛しているから、あなたが必要
貴方にだけイラつくのは どうしてだろう
—————
なのにどうして 貴方じゃなきゃダメなんだろう
「なぜ貴方じゃなきゃダメなんだろう」
という、切実な問いかけ。
恋愛をしていると、
誰もが一度はこの迷路に
迷い込んでしまうものです。
この問いに対して、
ひとつの手がかりをくれる名言があります。
ドイツの心理学者であり精神分析家、
エーリッヒ・フロムが1956年に著した名著
『愛するということ』
の中の一節。
« Immature love says: ‘I love you because I need you.’ Mature love says: ‘I need you because I love you.’ »
——未熟な愛は言う。『あなたが必要だから、あなたを愛している』と。
成熟した愛は言う。『あなたを愛しているから、あなたが必要なのだ』と。
私たちは時々、
孤独を埋めたくて、
あるいは誰かに寄り添ってほしくて、
「必要だから愛する」
という順番を選んでしまいがちです。
それは
決して悪いことではないけれど、
心のどこかでいつも乾きを感じてしまう。
けれど、
Tomomi様の恋愛詩が描いているのは、
きっとその逆の、
ちょっぴり痛くて愛おしい
「成熟へのプロセス」
ではないでしょうか。
「どうして貴方じゃなきゃダメなのか」
それは、
理屈で相手を必要としているからではなく、
ただ純粋に
「相手を愛してしまっているから、
結果としてその人が必要不可欠な存在になっている」
から。
自分の中の「必要」と「愛している」、
どちらの気持ちが先にあるのかを見つめ直すと、
その答えがふっと
見えてくるかもしれません。
言葉は足りなくても、心が通じ合うことがある
詩の中で、
私の胸を特に締め付けたのが、
この一文でした。
欲しい言葉はいつも貰えない
私たちはどうしても
目に見える、
耳に聞こえる
「正解の言葉」を
求めてしまいます。
でも、現実はそう上手くいかないことばかり。
2022年を涙で包んだドラマ
『silent』のことを
思い出してみます。
若くして聴覚を失っていく想(そう)と、
彼と偶然の再会を果たした紬(つむぎ)の恋を描いた、
切なくも優しい物語。
この作品の中で何度も、
静かに繰り返されていたテーマ。
それこそが
「言葉は足りなくても、
心が通じ合うことがある」
という奇跡でした。
想の不器用な手話や、
紬のひたむきな眼差し。
そこには、
どんなに巧みに飾られた愛の言葉よりも、
濃密で純度の高い感情が溢れていました。
詩の主人公が
「欲しい言葉はいつも貰えない」
と嘆くとき、
それは絶望しているわけではないと思うのです。
欲しい言葉そのものは貰えなくても、
相手の仕草や、沈黙の温度から、
伝わっているものは案外たくさんある。
言葉の足りなさを嘆くよりも、
その隙間に流れる温かい空気に
そっと触れてみる
――そんな風にストーリーを重ね合わせると、
ちょっぴり心が軽くなりませんか?
人は、誰かを想って生きていく
「怖くて時々何も言えなくなる」
詩の中のこのフレーズに、
深く頷く女性は多いはず。
勢いだけで飛び込めないからこそ、
恋は臆病になりますよね。
でも、言えなくなること自体は、
決してあなたの
「弱さ」
の証明ではありません。
むしろ、その怖さを引き受けて、
それでも相手の前に
立ち続けようとすること。
その引き返せない
一歩の先にこそ、
本物の愛が始まるのです。
「貴方にだけイラつく」
のも同じこと。
どうでもいい人には、
私たちは怒りも湧かないし、
イラつきもしません。
苛立ちは嫌いの証拠ではなく、
「本当はもっと分かり合いたいのに、
欲しい言葉が足りていないよ」
という、
あなたの心が放つ、
切実で甘いサイン。
悲しみやイラつきの裏にあるのは、
拒絶ではなく、
「もっと愛されたい」という
愛の渇望そのものなのです。
愛は、完璧な言葉や、
いつも満たされた穏やかな感情だけで
測れるものではありません。
どれだけ不器用でも、
時に傷つき、
イラついても、
それでもなお
「手を伸ばして」
繋がろうとし続けること。
その愛おしいジタバタすること自体が、
あなただけの特別な愛のカタチ。
だから、
「貴方じゃなきゃダメな理由」なんて、
格好いい言葉で
説明できなくていいのです。
ただ、その人を想って生きている、
その事実だけで、
あなたの日々はもう十分に
輝いているのだから。
fin d’un début
ある始まりの終わり
今宵、ディアボロ・ヴィオレットと共に
“こんな夜”におすすめのドリンクを紹介。

心が少しセンチメンタルな夜は、
お家の中に小さな
Paris
を作ってみませんか?
ご紹介したいのは、
ディアボロ・ヴィオレット(Diabolo Violette)。
フランスのビストロやカフェで、
子どもから大人まで
昔から愛されている
「ディアボロ」は、
お好みのシロップを
レモネードや炭酸水で割った、
初夏にぴったりの爽やかな飲み物です。
なかでも、
すみれ(ヴィオレット)
のシロップを使ったものは、
グラスの中に
淡いラベンダー色の魔法が
かかったようで、
とってもロマンチック。
フローラルで上品な香りが、
鼻腔を優しくくすぐります。

やり方はとても簡単。フランスの老舗ブランド・モナン(MONAN)社などの「バイオレット・シロップ」をグラスに少し注ぎ、冷たい炭酸水やレモネードを注ぐだけ。
もし日本で手軽に代替レシピを楽しみたいなら、市販のブルーベリーシロップに、ほんの少しのバタフライピーティー(青いハーブティー)を足して、レモン汁をキュッと絞ってみてください。すみれの代わりに、美しいグラデーションのパープルドリンクが再現できますよ。
ちなみに、鮮やかなグリーンのミントシロップを使った「ディアボロ・マント(Diabolo Menthe)」も、フランスの夏の風物詩。その日の気分に合わせて、グラスの色を選んでみてくださいね。
恋に迷う夜は、
冷たいディアボロを片手に、
そっと自分の心に耳を澄ませて。
完璧じゃない私の
一かけらの今を、
まるごと愛せますように。
それでは、また。

Une image n’est rien sans vos mots.
― あなたの言葉のない image は、
あなたの言葉なしには何ものでもない
― Une image, sans vos mots,
c’est un plan sans voix.

poetry by Tomomi ☕️
a film by 一かけらの今
illustration by Velvet Easter Corp.
for those who still believe in love.
まだ愛を信じている、すべての人へ。
あなたの「恋」を、ぜひここに
誰かに話すほどではないけれど、
自分の中では忘れられない瞬間。
言葉にできないほど切なかった夜や、
今でも胸が温かくなる記憶。
あなたの心の中にある大切な『恋』の欠片を、
少しだけお裾分けしていただけませんか?
※お送りいただいたメッセージは、編集部にて大切に拝見いたします。
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