[結果発表]第3回「夏の終わり」[詩の投稿コンテスト]

夏の終わり

詩の投稿コンテスト第3回「夏の終わり」へ、たくさんのご応募ありがとうございました!

今回は過去2回のイベントを上回り、応募作品数は214作品となりました!

作品が日々投稿され、たくさんの詩に触れられたことは、とてもうれしく、感謝しかありません。

そのぶん、選考は大変でしたが、それもよい思い出です。

それでは、今回応募された作品の中から、受賞作品を紹介します!

ぜひみなさまも詩に触れていただき、やさしい気持ちになっていただければ!と思います。


🏆大賞(賞金3万円+選評)


🏅花咲潤ノ助様
Twitter: @Junnosuke_Hanasaki


君を呼び出した校舎裏
まさかこんなに暑いなんてさ
全然考えてなかった

来てくれるなんて
思ってないなら
どうして1時間前に
来たんだろうな
どうして2時間も過ぎてるのに
帰れないでいるんだろうな

黄色い花がなくなって
黒い顔で俯いている向日葵と
同じ格好をしてる
8月31日に出来た僕の標本

花咲潤ノ助
・選評
時間は止まることを知らないまま、過ぎていきます。「君」が来てくれるかもしれない期待、「君」が2時間も来ないまま時間がたってゆく今。そこに残されたのは「僕の標本」です。ガラスのように輝く、変わらないままの想いが胸を打ちます。(菅原逢生)

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🏆準大賞(賞金2万円+選評)


🏅見沼夜来様
Twitter: @taiyoukansokujo


閉じていく空に
ありがとう
消えていく虹に
またあした
溶けていく夏に
さようなら

透明な炭酸水を
太陽に振りかざすと
紙吹雪を散らすように
橙が
藍が
はらはら降り注いでいた

今は?

槍のような赤も
川面に反射した白も
ひとつになって
夕日と一緒に沈んでく

だからさ、
また
会おうね。

見沼夜来
・選評
変わっていくこと、変わらないこと。「昔はこんなふうだった」そんな感傷が、空にも、虹にも、そして夏にも滲んでいきます。そして今、だからこそ今、夕日と一緒に沈んでいくすべてに、「また会おうね」と言える、一瞬を閉じ込めた詩です。(菅原逢生)

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🏆入賞(賞金2千円+選評)


🏅妻咲邦香(小さな気持ち)様
Twitter: @8bAgW29xoxFLpMG


右舷の風に拐われて
眠っていた
帆も舵もなく
辿り着いた岸辺に
人影のない
誰を望む?
何を望む?
岬に灯台の見える
今はいつなのか?
季節は越えたのか?
砂に触れてみる
もっと愛せたこの星と
もっと優しく出来た誰か
手紙になりたかった私は
濡れて文字が滲んで
夏服のままで

妻咲邦香(小さな気持ち)
・選評
風に運ばれ、辿り着いた岸辺。いくつもの問いが主人公のもとに去来します。「もっと優しく出来た誰か」と、「手紙になりたかった私」答えはどこにもないけれど、夏服のままでいることだけが確かなことです。心の奥へ、切ない旅は続きます。(菅原逢生)

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🏅くろぶち/丸岡雅弘様
Twitter: @kurobuchi_mm


視界のぼやけていく刹那、陽炎だけが季節に取り残されて、蝉時雨はアスファルトに染み入る。手の甲に懐かしい匂いが付いてしまって、忘れることすら忘れた、僕は夕立の湿度を感じている。またいつか、僕はうんざりする暑さを、冷たい風の中に求めるのかも知れない。その時までは、光の中で眠らせて。

くろぶち/丸岡雅弘
・選評
やがて来る次の季節。蝉時雨の中で、夏の真ん中にいる「僕」は、いつかこの時が未来の代償になることを知っています。「その時までは、光の中で眠らせてほしい」過ぎていく夏への想いを綴った、色鮮やかな作品です。(菅原逢生)

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🏅おろかし様
Twitter: @qfVg3gHJKq0MOqB


「夏の終わり」

春ならば
誰もが皆
早く来てと願うのに

秋ならば
秋の気配を
感じて冬の支度をする

冬ならば
誰もが皆
寄り添い暖めあってゆく

夏はなぜ
終わるのでしょう
短く切ないのでしょう

おろかし
・選評
待ち望む春にも、冬支度をする秋にも、皆が寄り添う冬にも、どこにもない夏への想い。「夏はなぜ」という最後の問いかけが、「短く切ない」夏への郷愁となって、心の中をいっぱいにします。答えのない切なさの中を歩きだす、美しい作品です。(菅原逢生)

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🏅ももはぴのうたアニソン練習中.*˚⋆☽︎様
Twitter: @hapihapia


麦わらに

終わりを告げる

寒蝉の

夕陽にのびる

君との影

ももはぴのうたアニソン練習中.*˚⋆☽︎
・選評
立秋に鳴く寒蝉は、過ぎていく夏の象徴として、そして秋の季語としても知られています。麦わらに終わりを告げるため、夏の終わりを知らせるために、寒蝉の合唱は続きます。そして「君との影」が夕陽にのびるとき、別れの時を刻むのでしょう。(菅原逢生)(菅原逢生)

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🏅ウサギと馬様
Twitter: @zpA9ZOsXHzMvukB


風が冷たいからと
窓を閉めてる貴方の後ろ姿

この夏は傘を差す期間が長く
この夏は花火をする夜が短すぎた

モヘアのカーディガンを羽織りながら

降り出した雨音を背に
二人で抱き合った

ウサギと馬
・選評
「この夏」それは、雨が降り続けた夏、「この夏」それは、花火をする夜が短すぎた夏。「貴方の後ろ姿」そして抱き合う二人。夏の情景がくっきりと伝わり、それを「終わりゆくもの」とする二人の抱擁は、美しい世界観を心に残してくれます。(菅原逢生)(菅原逢生)

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🏅愛叶夢(Atom)様
Twitter: @Atom_aiai


青の空が翳りを見せても
名残惜しそな夏は潜んで
陽射し燦々真白な君を
灼いて焦がせて赤くするから
被せて隠して陽の落ちるまで
入道雲の綿帽子

月の頃には手を取り合えば
秋の気配が身体を纏い
そぞろ歩きに心は躍る
川面を伝う流れる風に
揺れるふたりの影法師

愛叶夢(Atom)
・選評
まず作品全体の言葉のリズム感に感嘆します。入道雲の綿帽子、名残惜しそな夏、真白な君…一つ一つにやがて来る夏の終わりが息づきます。「揺れるふたりの影法師」それはふたりが生きる「今」への希望を伝えます。何度も読み返したい名作です。(菅原逢生)(菅原逢生)

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🏅かのう|公募用様
Twitter: @kanou_pen2


忘れられている誰かの飼い犬の毛布
来るかわからない明日のための服を回す

すべて借物のように思える
昨日の穏やかな木漏れ日さえ

雨音で消されゆく足音を鳴らしても
海までつづかずに足跡だけが流れる

すべて偽物のように思える
今日の行き場のない悲しみさえ

かのう|公募用
・選評
「すべて借物のように思える」それは昨日の穏やかな木漏れ日、「すべて偽物のように思える」それは今日の行き場のない悲しみ。日常の風景の中でふと、足を止める瞬間、胸を焦がすもの、その儚さ。静謐で強靭な表現力に圧倒されます。(菅原逢生)

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🏅やな らいや様
Twitter: @yanaliar


「夏の終わり」
私の夏を赤く染めて
大きな夕陽が
水平線に溶けていく
明日は新しい
勇気となって
昇るため

私の夏をずぶ濡れにして
激しい雨が
涙のように窓を叩く
明日は新しい
夢のアーチを
架けるため

やな らいや
・選評
「私」の夏を赤く染め、水平線に溶けること、「私」の夏をずぶ濡れにして、激しい雨が涙のように窓を叩くこと、それは明日という日の中で、「私」に希望を与えてくれること。希望という言葉が真っ先に心に浮かぶ、夏の終わりがここにあります。(菅原逢生)(菅原逢生)

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🏅櫻花 葵様
Twitter: @ohkaaoi1920


夏の黄昏が
頬に一筋の道を作る

風下に立ち
踊り出す伸びた影は
記憶を破り捨てた

限りを迎えた蝉の声も
覚悟を決めて絞り出す

私たちは涙

空に満ちた夢を喰らい
恥じらいを吐き出す

物語に終止符を打つ

心の海が白波を立てる時
季節の終わりを包み込む

それは遥か
サヨナラを添えて

櫻花 葵
・選評
「私たちは涙」夏の黄昏が、静かな決意に変わる瞬間。物語に終止符を打つことも、季節の終わりを包み込むことも、すべて「サヨナラ」の中に帰結します。作品の中のどの言葉も、なくてはならない大切なものにほかならない、優れた作品です。(菅原逢生)

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🏅いまい まり(Mari)様
Twitter: @Mari_NOVELDAYS


夏が終われば
君とまた
普通に話せる

それが
夢物語だと
知ったのは

夏が終わって
すぐのことだった

いまい まり(Mari)
・選評
夏のくっきりとした輪郭の中で、恋しい人への想いはより明確なものになっていきます。「夏が終われば 君とまた 普通に話せる」夏空の下、希望は育ちます。そして夏が過ぎ、ガラス細工が砕けるような、静かな「終わり」が胸を刺す、透き通るような作品です。(菅原逢生)

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次回予告


今回は、たくさんの応募作品から12作品を選ばせていただきました!詩を投稿していただいたみなさま、ありがとうございました!

しかしながら、一かけらの今の詩の投稿コンテストは作品に優劣をつけるものではないと考えております。

多くの人にみなさまの素晴らしい詩作品が届きますように、願いを込めて行っているイベントです。

次回イベントは、10月7日(木)から始まります!第4回詩の投稿コンテストのテーマは、「冬の言葉」です!

今後とも一かけらの今を、何卒よろしくお願い申し上げます!


次回もぜひご参加くださいね!

一かけらの今

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あなたに告白するのは きっと 恋の終わり あなたをあきらめることは きっと 恋の始まり 思い出だけ それでいいの いつかは今が コワくなるから

プロフィール

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うれしいって本当は、悲しくてつらいこと

かなしいって本当は、やさしくてあたたかい

小さなバラの雨が、今日も明日も降って

心は涙になる
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