[結果発表]第4回「冬の言葉」[詩の投稿コンテスト]

詩の投稿コンテスト第4回冬の言葉

詩の投稿コンテスト第4回「冬の言葉」へ、たくさんのご応募ありがとうございました!

今回は過去3回のイベントを上回り、応募作品数は301作品となりました!

作品が日々投稿され、たくさんの詩に触れられたことは、とてもうれしく、感謝しかありません。

そのぶん、選考は大変でしたが、それもよい思い出です。

それでは、今回応募された作品の中から、受賞作品を紹介します!

ぜひみなさまも詩に触れていただき、やさしい気持ちになっていただければ!と思います。


🏆大賞(賞金3万円+選評)


🏅滝本政博様
Twitter: @galapa7


「早朝」

雪が
積もった
空の底の町に

椅子は椅子の形に
ピアノはピアノの形に
車は車の形に
木の枝は木の枝の形に

雪が
積もった
道に沿って

でこぼこと
形に合わせて

公園は公園の形に
池は池の形に
猫は猫の形に
人は人の形に
吐く息は吐く息の形に
言葉は言葉の形に
雪が積もった

滝本政博
・選評
言葉の一つひとつから、寒けき朝の凛とした空気感が伝わってきます。「ピアノはピアノの形に」そして「言葉は言葉の形に」雪は積もり、日常的な、それでいて非日常的な美しい瞬間をパックしたような気持ちにさせる、至上の詩です。(菅原逢生)

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🏆準大賞(賞金2万円+選評)


🏅yoshioka kouichi 吉岡幸一様
Twitter: @spinoza11177


今年はじめての雪が
君の髪に舞降りてくる

いつもコンビニの前に
自転車を置いて
五分話すだけだけの関係

絶え間なく降ってくる雪を見上げて
「乗れないね」
と君は言いながら自転車を見つめている

「押して帰ろうか」
今日だけは自転車を並べて
君と五分以上話ができそうだ

僕は雪に微笑みかける

yoshioka kouichi 吉岡幸一
・選評
五分間だけの関係が、舞降りる雪によって進みだす、その瞬間に思いを馳せたくなるあたたかい詩です。二人の発する小さな言葉を包み込むように、小さな雪に微笑みかける一瞬に込められた前向きな気持ちに、励まされるように思います。(菅原逢生)

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🏆入賞(賞金2千円+選評)


🏅おろかし様
Twitter: @qfVg3gHJKq0MOqB


「冬の言葉」
耳を澄まさなければ
聞こえてこない
この冬の声を聞いて
君達は春へ向かう

心を澄ませていれば
棘を持つ事はない
この冬の言葉を聞いて
君達は明日へ向かう

その澄んだ瞳で
この冬の景色を見て
いつか君達が未来を創る
今聞こえてる
この冬の言葉を糧にして

おろかし
・選評
春へ向かい、明日へ向かい、そして未来を創る。耳を澄まし、心を澄まし、澄んだ瞳で冬の景色を見ようという「大切なもの」に勇気づけられる、希望を感じさせる詩が心を動かします。誰の心にもある「冬の言葉」を表現した詩です。(菅原逢生)

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🏅笠原メイ様
Twitter: @higuchimasakazu


涙が海になり 願いが星になる
悲しみから生まれた恋も
どこかで神様が
拾ってくれると信じてる
23歳の冬
カーテンの外れた部屋は
新居のように冷たく
彼が吸ってた煙草の香りが
胸に黒い染みを作る
ベッドの上で吸っちゃ駄目と
何度も言ったのに
ベランダに射し込む光
電車が遠くで キィと鳴いた

笠原メイ
・選評
「23歳の冬」というとても具体的な追想に、心が引き締められる思いがします。詩には、出会いの描写も、別れの描写もありませんが、部屋は冷たく、遠くで電車が音を立てる、ただそれだけで、儚く切ない、それでいて強い意志を感じさせてくれます。(菅原逢生)

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🏅Ikep様
Twitter: @lovekrtekajezek


自転車に乗って
夜明け前の疾走

息を吸えば気管が痺れ
ハンドルを掴む手は氷のよう

太陽光は弱すぎて
缶コーヒーの温もりは
僕の人生くらい役に立たない

若葉が芽吹くその前に

澄んだ空気を吸い込んで
手袋をせず君と繋ぐ手
君の温度を感じられたら

Ikep
・選評
「君の温度を感じられたら」夜明け前、弱い太陽光の中で、缶コーヒーのぬくもりを人生に例えるやるせなさや、もし「君」と手を繋げたら、と感じずにはいられない一つの願いに、詩の持つ疾走感が溶け合い、心が温まるような気持ちになります。(菅原逢生)

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🏅花咲潤ノ助様
Twitter: @JHanasaki


夏は早送りなのに
冬は随分スローに過ぎて
まるで動かない景色が
モノクロにピタリと張り付いている

どうせなら架線火災か何かで
電車が止まってしまうように
このまま季節も止まってしまえば
君と別れなくて済むのだけどな

でもこのままの二人じゃ
何も始まることもないからさ
春よ来いと
僕は歌う

花咲潤ノ助
・選評
冬に留まることは、「君」と別れること、春を迎えることは、「二人」の何かが始まること。揺れる心、先に進む静かな決意、それらを平易な言葉で表現するのはとても難しいものですが、完璧に実現させた、奥の深い作品になっています。(菅原逢生)

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🏅ヘリオライト涼華様
Twitter: @Kotoba_Izumi28


寒いね、って呟いた言葉は
凍てついた空気に阻まれて
互いの耳には届かずに
真白な吐息だけが絡まり
そして、消える
冬に紡がれる言葉は無言で
絡めた手と手だけが温かく
互いの存在を確かめあう
このまま
離さない、離れない
無言の愛の囁きを
冬の星空だけが知っていて
祝福の光を降らす

ヘリオライト涼華
・選評
「寒いね」呟いた言葉は、届かないまま消えてしまう。冬に紡がれる言葉は、凍てついた空気に阻まれて、絡めた手と手の温度だけが二人をつなぐもの、二人を確かなものにします。「祝福の光」が胸にこだまするような、美しい詩です。(菅原逢生)

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🏅cofumi(こふみ)様
Twitter: @cofumi8


『好きだよ』と
聞きたかった朝
違う言葉が
椅子の背もたれに
かけてあった

テーブルには
一口かじったトースト
さっきまであなたが
そこに居たしるし
ホットミルクで
泣きそうな心をなぐさめる

部屋は暖かくて
外は凍えそうなのに
あなたはそれでも
行ってしまった

cofumi(こふみ)
・選評
部屋は暖かいのに、外は凍えそうなのに、「あなた」は行ってしまった。別れの朝の光景は、「一口かじったトースト」でさえ、胸を締め付けてくるようです。背もたれに残された言葉、凍えそうな外に出ていった人、全てに切なさがこみ上げます。(菅原逢生)

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🏅わか【詩人/台本師】様
Twitter: @1975_kaz


凍えた君の手を初めて握った
ずっとずっと恥ずかしくて
勇気の出せなかった僕に
背中を押してくれた冬の風
はにかんで俯く君
僕の顔は夏の居住いに似た
火照り
君の唇が声もなく勇気の元を問いかける
目を閉じ耳を澄まし
独り言のように僕は応えた
声が聞こえたんだ、冬の声が

わか【詩人/台本師】
・選評
「君の唇」から声もなく届いた問いかけに、「独り言のように」応える僕。「冬の声」が聞こえたという最後の行に、背を押してくれた冬の風も、夏の居住まいに似た火照りも、溶けて消えていくような感覚に陥る心地よい詩です。(菅原逢生)

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🏅いまい まり(Mari)様
Twitter: @Mari_NOVELDAYS


秋らしい
秋もないまま

冬に
なりましたね

報われぬ
想いを
抱えた
日々

あなたは
どう過ごして
いるでしょうか

私は
あなたのことを
忘れられない
そんな日々です

寒いのは
気温でしょうか

それとも
心でしょうか

いまい まり(Mari)
・選評
「あなた」を慮る「私」の存在。「あなた」への問いかけに答えはなく、ただ報われない想いだけがある日々の切なさ。「あなた」への手紙でもあり、「私」に対する手紙でもある、そんな切ない冬の日を描いた作品です。(菅原逢生)

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次回予告


今回は、たくさんの応募作品から10作品を選ばせていただきました!詩を投稿していただいたみなさま、ありがとうございました!

次回イベントは、年をまたいだ2022年1月7日(金)から始まります!第5回詩の投稿コンテストのテーマは、「心」です!

今後とも一かけらの今を、何卒よろしくお願い申し上げます!


来年もぜひご参加くださいね!

一かけらの今

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あなたに告白するのは きっと 恋の終わり あなたをあきらめることは きっと 恋の始まり 思い出だけ それでいいの いつかは今が コワくなるから

プロフィール

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うれしいって本当は、悲しくてつらいこと

かなしいって本当は、やさしくてあたたかい

小さなバラの雨が、今日も明日も降って

心は涙になる
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