君と一緒にいたいと願いながら
オーロラ
とっておきの
オーロラの折り紙の真ん中に
ハサミを入れる
世界を歪ませながら
虹色に染めて
片割れは羽根のように
落ちていった
そのかすかな音に
胸が痛いのはなぜだろう
繋がってもいないのに
どうしてこんなに
痛々しいのだろう
まばたき
まばたきをするたびに
世界が変わらないかしら
目まぐるしさに息もできないかな
それでも何度もパチパチと
まつ毛で風を起こして
君が私を見てくれる世界線を待つ
たった1人
荒野に置いて行かれても
宇宙に放り出されても
もしその瞬間が待っているのなら
何度でも
猫
カーブミラーに
君とあの子が映ると
私は猫になる
何食わぬ顔をして
軽やかに駆け出して
街の隙間に消えてしまうの
涙から逃げるように
急いで
急いで
風にしっぽを撫でられて
もう大丈夫なフリをして眠るの
難しいパズル
幸せまでの道に
誰かの涙がつたう
真円は遠のく
心の采配は
神様にも難しいパズルだったみたい
私が無理して笑えば
丸く収まるわけでもなく
ママは心配するでしょ
うまくいかないね
それでも
好きだって気持ちを
ただそれだけを覗いている時は
幸せなんだよ
夏が降る
歩道に延びていく白い線
なんとなくその上だけを1人歩いた
まだ汗ばむ帰り道
きっと今夜
示し合わせたみたいに
夏が降ってくる
雲がソワソワしている
夏の下で
君はあの子の手をとって
どこに行くのかな
私はこの細い線を
どこまでもどこまでも歩く
Journey in to Chapter II
第2章へ続く
Chapter II
一つの光景
糸
君は誰かをからかったりしないし
あの子も誰にでも優しい
2人が一緒にいなくても
幾人ものクラスメイトの間を縫って
糸が繋がってるみたいだった
言葉にしなくても
態度にしなくても
誰にでも見える糸
誰にも触れない糸
喉の奥
ルノワールの絵から迷い込んだ猫が
小さく鳴いている
私にだけ聴こえる声で
寂しいのに寂しくないフリ
欲しいのに欲しくないフリ
どこか似ているね
抱き上げて鼻を寄せた
喉を鳴らせば
本当の気持ちが溢れてきてしまいそう
君の隣
生きている間に見たい景色が
指折りでは足りないくらいあるの
膝の上に猫を寄せて
夢と現実を行き来していた
オーロラがかかる真夜中
星が生まれる瞬間
虹の端っこ
本当は全部
君の隣で見てみたい
せわしない
レースのカーテンが揺れている
少し暑くて
でもまだ心地よくて
私はリルケの詩集を読みふける
一日の中で
自分のことは
好きになったり嫌いになったり
忙しい
君のことを嫌いになれたら
きっとこの胸には少し隙間ができる
ちゃんと息ができるようになる
だけど
自分のことも
嫌いになってしまうのかな
愛
きっとおこがましいほど
神様が苦笑いしてしまうほどに
私達は感情に名前をつけたがる
君と一緒にいたいと願いながら
君の幸せも
君の大切な人の幸せも
そっと願うこと
この気持ちはなんていうんだろうね
fin d’un début
ある始まりの終わり