見つかれば見つかるほど
熱を帯びる
恋は
叶わない方が美しい
なんて
誰が決めたのだろう
雨上がり
熱を帯びた息の行方
再び雲になって
土砂降り
恋は
叶わない方が美しい
なんて
神様のいじわる
神様ですら
人が創ったのだ
という時代に
私は夢を見る
朝焼け
黄金色に輝く
草原の上で
あなたを振り向かせる
微笑みかければ
風が謡う
どうかこのまま
醒めないで
わがままな願い
私の目覚めは
神様のいじわる
アメリカンチェリー
その瞳は
ほんの少し焦がした
キャラメルみたい
食べてしまいたくて
吸い込まれるように
顔を近づけたら
頬の色は
アメリカンチェリー
ふたつ
くっついて
甘い香りは
気のせいだけれど
私のまま
綺麗なものに
憧れて
そういうものに
なれなくて
初めてマニキュアを塗った
私のままだった
がっかりしたんじゃなくて
どこか
安心したんだ
綺麗なものに
憧れて
そういうものに
私はなり損ねたけれど
あなたのために
とっておこう
きっと今は
吹奏楽の
まだ不揃いな音色を
聞きながら
教室の窓から
あなたの姿を追う
土埃にまみれて
走る背筋の
頼もしい
きっと今は
私のことなんて
頭の片隅にもないのだろう
それでも
夢中なあなたが
私を夢中にさせている
Journey in to Chapter II
第2章へ続く
Chapter II
一つの光景
窮屈
校舎裏にも
屋上にも入れない
ご時世で
隠れ家を見つけるのは
容易じゃないな
もっと高いところへ
一緒にのぼって
思いっきり叫ぼうと
したって
窮屈な世の中だ
だから
ひっそりと慰めるように
耳元で
囁いてみたんだ
大人になる
私たちは
大人になる
らしい
逃げても拒んでも
いずれ
それはどんな姿をしているの
どこで何をしているの
誰も教えてはくれないけれど
私たちは
大人になる
という
無責任だな
唇を重ねようとしたら
まだ子どもだよって
免罪符は
破り捨てて
どこへも行けない
努力が報われる
そんな瞬間が
尊くてまぶしいのは
その通りで
当たり前で
誰だって喜ぶものを
素直にそう思えないのは
私のせいだけれど
秋風が木の葉を舞い上げる
枯れてしまった夢の
往く先は何処
薄ら雲の色
私は
どこへも行けないな
零れ落ちるもの
思い出は
勝手にできていくものだと
私は浅はかに
ないがしろにしてきたのかな
探せば探すほど
見つかって、見つかって
それでも足りないなんて
欲張りなのかな
嗚呼、でも
見つかれば見つかるほど
楽しかったはずなのに
涙に変わっていくのは
どうしてなのかな
思い出は
しまっておいた方がいいのかな
それでも
零れ落ちるものは止まらない
いつまでも追いかける
離れ離れになることが
始まりだって思えなくて
終わることまで
青春だというなら
輝く季節は
残酷だ
きらめく夢の
そんな夢の続きを
私はいつまでも
追いかけるのだろうか
叶わない方が美しいなんて
そんなの嘘だよ
fin d’un début
ある始まりの終わり