あなたとつくった陽だまりの世界
掴まれたなにかの正体
上手に紛れて
噂にもならない
それなのになぜか
どうしようもなく
刺激される好奇心
言葉で遊びながら
独特な角度の視点
例えようのない
胸おどる違和感
共鳴するように
掴まれたなにかの
正体を知りたくて
少しでもあなたに笑ってほしい
ぎこちない
電話の声
かき消すように
お喋りなわたし
頭の中はフル回転で
次の話題を探してる
まだ聞きたくない
さよならの合図
少しでも長く
繋がっていたい
少しでもあなたに
笑ってほしい
はじまりはいつも
不安とか
不満とか
むけるまでもなく
わかってくれて
嬉しくてこわい
自分でも戸惑う
矛盾した感情
見透かされて嬉しい
気づかれるのが怖い
友人いわく
これは助言
はじまりはいつも
そんなものだと
雨にも負けないあなたに憧れて
知れば知るほど
この気持ちは必然
当たり前に親切で
印象に残らない
雰囲気に敏感で
暗躍が得意
誰も傷つかないように
空気を修正しながらも
面白いほど目立ずに
素知らぬ顔で
いつも静かに笑っている
雨にも負けない
あなたに憧れて
初恋わずらい
川のような街
行き交う人々
誰かの腕が
肩を掠めながら
進むその先に
焦がれた立ち姿
早鐘を鳴らす心臓
視線がからめば
背景はとけて
瞳の中にあなただけ
誤魔化しようもなく
初恋わずらい
Journey in to Chapter II
第2章へ続く
Chapter II
一つの光景
あなたが好きな秋の始まり
見上げた空に
ひろがるイワシ雲
視線の少し先
ガードレールの上で
羽を休める赤トンボ
気まぐれに進む
散歩道で探すのは
どこからともなく
香りたつ
あなたが好きな
秋の始まり
あなたの優しさに染まって
正しさで誰かを
追い詰めて笑う
親切を免罪符に
踏みにじる心
冗談に包んで
隠されたトゲ
わかっているくせして
色ちがいにならないよう
沈黙をつらぬき
手に入れた安全な場所
あなたの優しさに
染まって気付けた
自己嫌悪の理由は
ダーティなわたし
好きになった冬
雪の匂い
暖色系のニット
雨降りの翌日
コンクリートに薄氷
吹く木枯らしを
理由にして
繋いだ手と手
あなたが寒がりで
本当によかった
噛み締めた想い
この時をもって
好きになった冬
終電待ちのプラットホーム
幸せカテゴリーに
分類した今日
白息の聖夜
通りには赤緑の飾りと
ちりばめた星屑の電飾
過ごした時間を
頭の中で繰り返し
夢見心地に目をつむる
終電待ちのプラットホーム
閑散とした空気の中
鼻の先を赤らめて
自然と緩む口元を
ブラウンチェックの
マフラーで隠した
あなたとつくった陽だまりの世界
どこかにある
わたしの居場所
小春日和のようなら
どんなにいいかと
想像していた「いつか」
ようやくわかった
わたしの居場所
どこかにある
わけじゃなかった
用意されてる
わけじゃなかった
あなたとつくった
陽だまりの世界
わたし達の
特別な居場所
fin d’un début
ある始まりの終わり