憂鬱に濡れたスケッチ
距離
わずかだけど
隙間ができた
わずかだけど
ヒビが入った
わずかだけど
小さなことが重なって
2人の距離は
遠くなるばかり
会いたい
その一言が
言えたなら
わずかなヒビは
埋めることができるのに
いつからだろう
言えなくなったのは
あいあい傘
ひとつの傘に
想いを宿して
肩が濡れても
笑ってた
ひとつの傘に
想いを宿して
細い持ち手を
ふたりで握った
冷たい私の手は
あなたの手で
温められた
「あったかいね」
そういうと
あなたは照れて笑った
ほんの数日前までは
ふたりでひとつだったのにね
こころ
全てを知るのが
怖くて
あなたの気持ち
気づかないふりしてる
今のあなたを知ってしまったら
もう会えない
もう戻れない
そう心がつぶやくの
ずるいね
あなたの気持ちを
知ろうとしないなんて
ずるいよね
チケット
何気なく手を入れたポケットから
思い出のかけらが
見つかった
フワッと浮かんでくる
あの時の感情が
暖かくて
懐かしくて
愛おしく想えた
「また行こうね」
そう約束したよね
思い出のかけらを見るまでは
忘れてたのに
会いたいよ
会いたい
抵抗
いつもと違う化粧をして
いつもと違う服を着て
いつもと違う靴を履いてみた
あなたがいなくても
平気だって
自分に嘘をつくの
いつもより背筋を伸ばして
いつもより笑って見るの
あなたがいなくても
寂しくないように
あなたがいなくても
少しでも歩けるように
Journey in to Chapter II
第2章へ続く
Chapter II
一つの光景
ラズベリー
口にしたラズベリー
甘酸っぱくて
思わず眉をしかめた
彼は笑ってたけど
恥ずかしくて
目を逸らした
あたたかい彼の手が
私の頭にそっと伸びた
彼の瞳は優しく
私をみていた
愛おしくて仕方なかった
明日のラズベリーは
たとえ甘くても
多分少しも
美味しくないんだね
彼色
街中で流れる音楽
彼の好きな曲だ
街中で見かけたお店
彼の好きな服だ
見える世界は
彼色に染まっていて
もう忘れたしまったんだ
あなたがいない世界を
雨
憂鬱な雨
今の私にはちょうどいい
憂鬱な雨
外の世界も泣いているんだ
彼は傘を持って
出かけただろうか
どこかで濡れてないだろうか
連絡すればいいのに
勇気のでない
臆病な私
憂鬱な雨
彼は私のこと
思い出してくれるのだろうか
プレゼント
ふたりで歩いた道に
小さな光が
無数に咲いていた
コロコロと笑う子供の声
肩を寄せ合う恋人たち
あの頃は
彼を見つめるのに忙しくて
こんなにきれいだったこと
気付かなかった
神様
プレゼントは
何もいらないの
彼と笑って過ごせたら
それ以上の幸せは
何もいらないの
らいん
小さな箱に
想いをつづった
小さな指は
ちょっと震えた
小さな箱に
つづられた想いは
小さな指が
紙ひこうきにして飛ばした
届け
素直な気持ち
届け
会いたい気持ち
小さな箱は
ぼんやりひかり
私をやさしく
照らしていた
fin d’un début
ある始まりの終わり