二十四時の恋人たち

恋愛詩集

Un deux

出典: unsplash.com

映画館


ラメ入りの空


ほんの少し距離があるまま


きみと歩いた夜


遠くに街の声


とあるワンシーンみたいな


ふたりぽっち


なのにどうして


悲しい気持ちなの?


世界から放り出されて


果ての淵に立つ


わたしだけは


ひとりぽっち

にがいドロップ

出典: snapmart.jp

心と言葉がケンカして


くちびるからあまのじゃく


ふっ、と視線 そらされて


チクリ


巻き戻せない


ああ、いっそ


まるごと全部


わたしの本当を


いますぐあなたに


見せてしまいたい


なんて、うそ


わたしの本当なんて


わたしにもわからない

指の隙間

出典: unsplash.com

届かないのは


いつだって


その横顔で


鼻のカーブ


きらめく耳のうぶ毛


眠そうなまばたき


あと少し


気づかないで


気づいて


仲間にまぎれて


午後6時ごろ


きみの夜をください

アンダーカレント

出典: unsplash.com

ぽつんとした木曜日


からだの真ん中に


甘い痛み


ねぇ


この夜を越えられない


シーツにくるまって


海の底


早く知らせて


きみの名前


光る画面が


待ち遠しくて


息もできない


深く深く


沈んでしまうその前に

10000分の1

出典: unsplash.com

お気に入りのドラマ


図書館の背表紙


SNSの画面


ふいに


あなたと同じ名前


いやになってしまう


なんでかな


友だちとのおしゃべり


ひとりごはん


これからの準備


くるくると過ぎる毎日で


あなたのこと思わない瞬間


あるんだよ


たくさんたくさん


それなのに


あなたは残酷で


名前たったひとつで


わたしを壊す


いとも容易く

街が動きだすまえの白白明け
わたしは1人電車に揺られていた
ガタン
あの言葉は本当だったのかな
ゴトン
わたしだけに言ってくれたのかな
ガタン
期待したくないのにな
コトン
理性がたおれこむ
ばかだねってそんなの
ぜんぜん嬉しくないのに
ほんとにさ、うん
ばかだね

Journey in to Chapter II
第2章へ続く

Chapter II
一つの光景

残されたものたち

出典: unsplash.com

ここにいて


いたよ


いなかったかも


いた


温度だけ


そう


残ってる


うん


あたたかくて


でも


さみしい


ごめん


手のひら


ほら


触れてみる





いないのに


いるように


触れるだけ


声と息


覚えてる


耳の奥


離れない


記憶なんてものがあるから


苦しいのだ

ベター・ハーフ

出典: unsplash.com

魂の片割れ探し


なんでかな


うまくいかない


きみのぽっかり開いた穴


欠けた部分


愛おしくなるくらい


わたしにぴったり


完璧なわたしたち


なれるはずなのに


それなのに


神様はいじわる


人間を孤独な生き物に


生み落とした

スイッチ

出典: unsplash.com

隣にこないで


泣きそうになる

とくべつな響き

出典: unsplash.com

この世にはたくさんの言葉があって


けれども


あなたへの思いを表す


正確なものが見つからない


使い古されていない


私だけのとくべつな響き


まだ足りない


好きとか愛してるなんて


誰かが作った言葉でしょう?


こんなにも複雑で尊い感情


そんなものに


閉じ込めてしまわないで


いつかきっと


伝えるときがきたら


そのときはきっと

ヌーヴェルヴァーグ

出典: snapmart.jp

ひんやりとした朝の空気


鼻先の冷たさを感じながら


ざくざくと前へ歩く


粉々になった宝石たち


まつ毛からおちて胸元を濡らす


新しいわたしにならなくちゃ


勇敢で


美しい


あなたのいない世界でも


立ち止まらずに

fin d’un début
ある始まりの終わり

一かけらの今

286,933 views

あなたに告白するのは きっと 恋の終わり あなたをあきらめることは きっと 恋の始まり 思い出だけ それでいいの いつかは今が コワくなるから

プロフィール

relation

about

うれしいって本当は、悲しくてつらいこと

かなしいって本当は、やさしくてあたたかい

小さなバラの雨が、今日も明日も降って

心は涙になる
about

new