あたたかな雪
12月の街は
金色 銀色
街におどる光のワルツ
その中を
泳ぐように歩く
恋人たち
クリスマスツリーの星が
祝福するように
キラキラ光る
あの星に手をのばせば
勇気が出るかな
あなたに
この気持ちを
伝えられるのかな
笑顔
優しいねと
あなたに言われると
泣きたくなる
そうだね
でもあなたは
生意気で
すぐに泣いて
猫みたいに甘える
あの子が好きなんだね
友達の私は
あなたに
やさしくしかできないんだ
泣き顔をかくして
やさしい笑顔で
今日もひっそり
涙をためるだけ
ティアーズ・ボトル
恋人たちの物語は
いつもハッピーエンド
でも 悲しいピエロは
いつだって脇役
おどけて
はしゃいで
そんなピエロの涙を
憐れんだ神様が
そっと渡した
ティアーズ・ボトル
泣きたいときは
このボトルに
そっと涙を
ためなさい
ピエロの涙は
クリスタルクオーツになって
私の胸で
揺れている
夕映え
友達として
肩を並べて
もう何度
この道を歩いたかな
たわいないお喋り
少しだけ先を歩く
あなたの大きな背中
手を伸ばせば
届く距離が
永遠に思えるよ
ふと 振り向いたあなたの
夕日に照らされた笑顔が
私には
お日様より
まぶしかったよ
涙がにじむ
照れくさそうに
嬉しそうに
彼女の話をする
あなたの声
私は笑顔で
ミルクティーにお砂糖を
三つ、四つ、五つ、六つ、七つ…
残酷なあなたの言葉を
少しだけ甘くする
昼下がりのカフェは
窓からの光が
まぶしすぎて
涙がにじむの
Journey in to Chapter II
第2章へ続く
Chapter II
一つの光景
媚薬
アラブのお姫様が
盃に一滴
落とした媚薬
愛しい人よ
私を見て
私だけを
その宝石のような瞳に
映して
彼女の心は
満たされたのでしょうか?
きっと
もっと
悲しくなったのでは
ないのでしょうか
ささやかな音
お人よし
優しすぎる
だからあなたは
恋が実らない
親友が
口をとがらす
いつものお店で
なんでもない日常
お気に入りのコーヒー
カラカラ
コロコロ
耳に届く
ささやかな音が
ささくれた
私の心を
癒やしてくれる
ピンクシュガー
ふわふわしてて
甘くて
うす茶の瞳が
いつも
夢見るように
濡れている
あなたの大切なあの子は
ピンク色の砂糖菓子みたい
砂糖入れの中で
たったひとつ
宝石みたいに
輝く
ピンクシュガー
同じ
女の子でも
憧れてしまう
ずるいよ
フリージアミスト
赤と緑の
クリスマスカード
ずっと
友達でいような
たった一言
でも
私の胸を
えぐる一言
ラッピングの中には
フリージアミスト
誰にでも愛される
この香りが
私にピッタリだと
以前
あなたが言った
ねえ、どういうこと?
誰にもだなんて
意味ないのに
嬉しいのか
悲しいのか
分からないよ
あたたかな雪
夜明け前の
ほんの一瞬
その
瞬間が
夜空が一番
暗くなるんだ
そんな
他愛もない
あなたの言葉が
暗闇に
一人で立つ
私の心を
優しく包む
静かに
花びらのように
落ちてくる雪が
冷たい涙に
ぬれた頬に
あたたかく
ふれてとけた
fin d’un début
ある始まりの終わり