もう一度会いたい理由
二人は知らない
制服の白い袖
細く伸びた腕に少しだけ
触ってみたいと思った
青い風が
あなたの髪を揺らして
優しい時間が流れる
あなたの背中にかけよって
笑ってさよならが言えるように
何度も練習したから
大丈夫
一度だけ腕に触れて
あなたに吹いた青い風みたいに
「さよなら」
二人は知らない
あなたはあなたしか知らない
だからわたしを知らないまま
わたしはわたししか知らない
だからあなたを知らないまま
二人でいても
二人は知らない
それが幸福なことだって
このまま知らないままでいようよ
このままの二人がいい
あなたはわたしが知らないことを
知っている
わたしはあなたが知らないことを
知っている
それがとても孤独なことも
知っている
雨上がりの空
雨が降ればいいな
傘をさしても
あなたが濡れてしまうくらい
雨が降ればいいな
泣いちゃいそうな
わたしみたいに
わたしはきっと
あなたを守ってあげられる
スーパーマンみたいに
傘を持って会いに行くわ
あなたにとって
雨上がりの空みたいな
存在になりたい
だから
雨が降ればいいな
羨望
優しい声も
優しい手も
優しい笑顔も
あの子のもの
傷付いた心も
流す涙も
震えた声も
あの子のもの
手放したいだなんて
言わないで
欲しくて欲しくて
仕方がなかった
それでも
諦めるしかなかった
だからどうか
手放したいだなんて
思わないで
半分
あの時に失った心は
わたしの半分だった
今わたしは
半分だけで生きている
水槽の中の魚のように
ユラユラとさまよっているみたい
心の半分を失って
それでも何かに期待して
残り半分をずっと探してる
あの時と同じ
悲しい歌が流れても
痛みすら感じないの
苦しみは
あの日失った心の中
前を向かなくちゃ
できない事ばかり
考えている
Journey in to Chapter II
第2章へ続く
Chapter II
一つの光景
否定
もう一度会いたいのは
あなたじゃなくて
あの日のあなた
なのかもしれない
あなたに愛されたいのは
わたしじゃなくて
さびしい心
なのかもしれない
頭の中で
答えのないことばかり
考えてしまうのは
まだあなたを望んでいるって
認めたくないから?
色んな可能性を
引っ張り出して
心を否定しても
物語の中心にはいつも
あなたがいる
それだけは
否定できないね
花瓶の水
枯れたら悲しいからと
君がくれた造花が
どんな時も可愛いから
わたしはいつでも笑顔になれる
黄色にピンク
白にオレンジ
君の好きな色で造られた花束
どんな時も君を思い出させる色
必要なくても
花瓶の水を毎日換えるの
どれだけ時が経っても
色褪せないように
嘘
嘘をついた
誰かを傷付けないために
誰かを傷付ける
嘘をついた
視界が滲んで
今にも泣きだしそうだったけど
うまく笑って
嘘をついた
全部受け止めるつもりでいた
でもやっぱり無理だった
吐き出し方も知らないから
受け止め方も分からない
わたしは自分に
嘘をついた
わたしの選択
全部変えてしまってもいい
髪色も服装もネイルも
やりたいならやればいい
どれだけ考えても
答えなんて出ないなら
変わってしまえばいい
わたしはわたしだけのために
何もかも変えたってかまわない
それがわたしの選択なら
後悔してもかまわない
そこからまた
新しく始まることだって
あるから
ラクガキ
ラクガキを消す
スプレーみたいに
吹きかければ消える
思い出があればいいのに
こびりついて離れない
ラクガキは
もう2度と消せない
消えないのなら
ラクガキをして
思い出を隠して
眠りにつくの
fin d’un début
ある始まりの終わり