頬を伝うノクターン
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色彩のダンス
![](https://hitokakeranoima.com/wp-content/uploads/2021/01/cody-gallo-u8qaKdo17gc-unsplash.jpg)
揺れる電車
隣にあなた
眠たげな顔で
目を閉じたのは
少しでもその肩
触れたかったから
薄目を開けると
逃げ際の夕日
息を飲むような
色彩のダンス
ただ眺めていた
うつむくほど
うららかな春の日
恋する少女
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遠回りの帰り道
頬をくすぐる
ボブの毛先
落ち着かなくて指あそび
わたしずっと上の空
話したいこと
ただ一つなのに
触れられそうで
触れられない距離
実りそうで
実らない思い
何だか似ている
なんてね
わたしまるで
恋する少女
水槽の魚
![](https://hitokakeranoima.com/wp-content/uploads/2021/01/shaun-low-PvpDaDw_YyY-unsplash.jpg)
色とりどりの
水槽の魚と
優しい青色
無機質な光
待ちわびた冬の日
始まりは
終わりへの序曲
時間よ止まれ
あなたに見つめられて
魚は跳ねる
羨ましいな
ぽつりこぼした
あなた今日も
聞こえないふり
大人ごっこ
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最後の思い出
せめてかわいいわたしで
背伸びした靴擦れ
褒めてもらった爪の先
遠くなる背中
現実を疑ったまま
泣けなかったことも
あの日の続きも
あなたは知らない
でも
安心してね
わたしきっと
あなたが知ってるよりも
ちゃんと大人だから
湯気
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ココアに隠した
言えない気持ちは
白い湯気
混じって消えた
ふらりふらりと
行ったり来たり
あなたに届けようとしては
わたしの元へ帰ってくる
いつの間にか
抱えきれないほどに
膨れ上がったそれは
いつかあなたに届くでしょうか
Journey in to Chapter II
第2章へ続く
Chapter II
一つの光景
秘密
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賑わいの街
遠くから見えた
わたし探す横顔
些細な喜び
焼き付けるよう
しばらく見ていた
揺れるイヤリング
付けたてのチーク
鏡の中
今日のわたし
きのうより
少しかわいい
秘密の高鳴り
あなたにはまだ届かない
いつかはきっと
いつかのまま
海の底
![](https://hitokakeranoima.com/wp-content/uploads/2021/01/christopher-campbell-Cp-LUHPRpWM-unsplash.jpg)
ひとりぼっちの真夜中は
まるで海の底みたい
低い温度
息苦しくて
頼りないくらい
弱い光
誰にも聞こえないように
静かに泡を吐き出して
ただひっそり
あなたの幸せを
願い続けるの
たとえあなたの隣に
わたしがいなくても
欠けた月
![](https://hitokakeranoima.com/wp-content/uploads/2021/01/mitchell-luo-eUfbB5PJEgs-unsplash.jpg)
三日月が好きなのは
諦めきれないわたしと
何だか似ているから
伏し目がち
頼りない光
完璧を夢見てる
あなたの優しさで
足りないわたしを補うの
はみ出した手紙と
物憂げなわたし
あなたに選ばれたくて
今日も待ってる
夢
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ふたり歩く夜明け前
回る景色は水彩画
息を飲むほど美しく
沈黙の音色さえ
耳をすませば聴こえそう
ねえ
実はね
わたし
あなたのこと
言いかけた後
ぱちんと音を立てるように
目が覚めた
ベッドの上で
わたしはひとり
午前六時
![](https://hitokakeranoima.com/wp-content/uploads/2021/01/alexandre-brondino-0TOKPf1yhYI-unsplash.jpg)
あなたの色は
わたしを照らす
夜の灯台みたい
気だるさと偏頭痛
今もまだ
体の一部のよう
何年経ったら
あなたの色を失うんだろう
ぼんやり窓を開けると
乳白色の空と
ぬるい紅茶の琥珀色
午前六時のコントラスト
風に吹かれたら
聞こえた気がした
「どうか忘れないで」
あれは
わたしの声だったのかな
いいえ、たぶん、きっと
夜明けに向かう
渡り鳥だわ
fin d’un début
ある始まりの終わり