運命の恋
美しい記録
あなたは
美しい記録
どんなレコードも
あなたの音には
かなわない
どうかもう一度
聴かせてほしい
あなたの
美しい声
あなたは
わたしの心に
いつまでも漂い続ける
美しい記録
金色の雨
雨になりたい
あなたを包む
やさしい雨に
傘もささずに
あなたは歩く
どこへ行くの
わたしはここ
あなたの傍に
ずっといるよ
わたしのこと
忘れたのかな
傘を手にした
あなたは笑う
わたしはただ
雨になるだけ
あなたを見つけた
ナイフのように
甘い言葉を
突きつけられる
「好きな人いないの?」
わたしはやさしく
傷付いて
あなたを見つけた
意地悪なあなたを
わたしはなんて
答えればいい?
わたしの好きな人
あなたは気づいてる?
どうして
そんなことを聞くの?
胸の振り子
本当に
よくあるお話
わたしはあなたに恋をした
あなたはあの子が好きなのに
胸の振り子は揺れるばかり
ぷつりと切れる糸の音
おかしくて寂しくて
幸せだったことさえも
どうかどうかどうか
行ってしまわないで
わたしはあなたを
焦点とする人工衛星
星降る夜に抱きしめて
本当に
よくあるお話
わたしの朝
わたし一人
涙の朝
枕元に手をのばす
「ひどいこと言ってゴメン」
なぞる指、止めた
あなたの恋人になるテスト
最低点だったんだ
あなたと彼女の笑い声
うらやましくて
こんなことになった
だからもういいの
涙を拭いて
わたしの朝
Journey in to Chapter II
第2章へ続く
Chapter II
一つの光景
パリに来て
空港で
一夜を過ごした
あなたに
メッセージを送った
3分に一度
朝が来るまで
あなたは
何も答えない
まるで
パリ北駅の
ストライキ
あなたは
まるでわたしが
マクロン大統領だとでも
いうつもりなの
明日も明後日も
空港で
あなたに
メッセージを送るわ
パリに来て
わたしの模様
ギンガム・チェックでも
ストライプでもない
わたしの模様
いつも素直な
いい子にはなれなくて
セーブルでも
チンチラでもない
わたしの模様
本当は弱くて
うつむいてばかりいる
街の中で
たださまようだけ
世界には
わたししかいない
そんな気がして
あなたをコールする
輝き
青春は去っていく
若草の静けさ
木立の中で
脆い陽ざしが
凍てつくように
青春は去っていく
あなたの強さ
つないだ手
呼び止めても
きっと届かない
わたしはそっと
あきらめようとした
目を開けた世界
どうかあなた
恋を知らずに
いてくれたならば
わたしはきっと
欲張りな小鳥
目を閉じた世界で
二人笑っていられた
いつかあなた
恋に目覚めて
出かけていくなら
わたしはきっと
傷付いた小鳥
目を開けた世界で
目覚めない朝になる
運命の恋
運命の恋なんて
したくはないの
決められた出会い
決められた別れ
キスをした歩道橋
夏が秋になる瞬間
運命だなんて
思いたくない
それでも全部
偶然だなんて
思いたくなくて
わたしは泣いた
運命の恋
fin d’un début
ある始まりの終わり