バラ色、ゴールド、深い青
![バラ色、ゴールド、深い青](https://hitokakeranoima.com/wp-content/uploads/2021/05/800-5501141334_1500.jpg)
群青の幕
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砂漠みたいに
どこまでも無限な青空
夕方には焼ける茜色
夜には群青の幕が
降りる仕掛け
神様、どうして空の色を
ひとつにしなかったの?
夜に星が灯るのは、どうして?
心に誰かの場所が
出来ることに、名前はある?
ショコラ
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机の上に昨日が散らばる
開けようとして
リボンをほどいた
ショコラの箱
あと少しでできる
ドライフラワーの花束
また私
あの人のことを考えながら
群青の幕をくぐり抜けたの
そういえば途中で
うれし泣きみたいな
歌が聞こえた
サブマリン
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バスルームに
リリイ&ジャスミンの香り
私というサブマリン
「ここなら誰にも聞こえないよ」
そんな声がした
大きく息を吸い込んで
肺に花びらを敷き詰めて
たった2文字の
わたしの気持ちを
あぶくに閉じ込めた
映写機
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靴が砂利の上を
滑る音なんて
誰だって同じだと
思っていたのに
髪が風に攫われる瞬間なんて
なんでもない風景だと
思っていたのに
瞳の奥に
壊れかけの映写機があるみたい
繰り返して、再生して
あの人のことが
焼き付いていく
ムービー
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丸まったポスターの端
まち針じゃもう落ちてしまう
抗えないのね
ちょっと懐かしい映画
どんな風に始まったっけ
透き通る水面
2人を乗せた小舟が
さざ波をつくる
あの白い帽子の少女は
きっとこんな気持ちだった
Journey in to Chapter II
第2章へ続く
Chapter II
一つの光景
周波数
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私につけられた名前
この花を呼ぶときの名前
指にもひとつひとつ、名前
数え切れないほどの言葉が
私の耳に、目に、心に届く
灯台みたいに照らしながら
周波数を合わせながら
私ずっと
あの人の名前を探していた
クジラ
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52Hzの歌声の
ひとりぼっちで泳ぐクジラ
自分だけわかる言葉で歌って
昇るあぶくを眺めていた
クジラの気持ちを閉じ込めて
空まで昇る
そして夜になると星になって
静かに海を照らすの
何かを
誰かを探すように
絵の具
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私は1日の中で
心の色を
くるくると変えている
マヌウ・メイアンみないな
バラ色
いつか手にとってみたいくらいの
ゴールド
海の底にも
夜の空にも負けないくらい深い青
その全部に
覚えたての
あの人の名前をつけたい
神様、どうして心の色を
ひとつにしなかったの?
あぶく
![](https://hitokakeranoima.com/wp-content/uploads/2021/05/757932_1500-1024x684.jpg)
誰かに言いたいけど
秘密にもしておきたい
いつか何かの果てにこぼれたら
もう掬えないミルクみたいに
きっと機関銃のように
おしゃべりしてしまいそう
だけど私、まだ知らないの
あの人のこと
これから知っていくの
夜空を見上げた
あぶくみたいな星空と
うれし泣きみたいな歌声
夜に星が灯るのは
誰の仕業?
あの人の場所
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ある日
心にあの人の場所が出来た
それはずっとそこに
焼き付いて
目を閉じても映画を見ても
消えてくれなかった
私が知っているのは
名前と声と
いくつかの仕草
それから
これが恋だということ
少しずつ焼き付いていく
心の海を小舟が滑り出していく
fin d’un début
ある始まりの終わり