心に白
大人になる
何歳から大人なのかと
みんな聞くけれど
何歳になっても
子どもな自分はそこに居て
背伸びして過ごすうちに
気づけば大人と呼ばれていた
過去より成長している自分に
安心したりもするけれど
体の全部で受けとって
まっすぐに向き合っていたあの頃を
忘れちゃいけない
変わることが全てじゃない
逆さま
ありがとう
ごめんね
好きだよって
言えなくて
何度も同じ道を通る
もういいって飛び出して
あなたの気持ちを計るなんて
本当が言えない私
ほどけた靴紐に泣いた
花火
結った髪と
小花舞う浴衣
歩幅を合わせてくれるあなたの隣で
夏の匂いに恋をする
光り咲く夜空を
瞬きも忘れて記憶に刻む
照らされたあなたが
きれいだねと笑った
胸の奥が熱くなったとき
夏の匂いに恋をした
あなたに猫
あまのじゃくでツンとして
かまってほしくて耳を立てる
嫌がる私を抱きしめて
ねぇずっと側にいると言ってほしい
いつも冷たい体に
あなたの体温が触れたとき
どうしようもなく心地よくて
見えないしっぽを振る
今日もあなたに猫
春夏秋冬
ピンク色に染まる春
光に照らされる桜
夜空に舞い上がる花火と
赤い景色と秋の足音
白に包まれた
冷たい世界に温め合う
刻まれていく日々が
私を強くも弱くもして
あなたのTシャツで眠る
Journey in to Chapter II
第2章へ続く
Chapter II
一つの光景
横顔
右にあなた
前を見つめる横顔
長い睫毛にふれたくて
あなたの形を辿る
いつも手を繋いでいてくれたから
暗い道も怖くなかった
目的地に辿り着けば
この時間は終わってしまうから
あなたの横顔を
心のポケットにしまいこむ
朝が怖いなんて
ずっと待ちぼうけていたのに
朝が怖いなんて
眠ると今日が終わって
明日となりにあなたは居ない
朝が怖いなんて
暗闇のなか目をあける
薄明かりに照らされた夢の部屋
どうか時間よ止まれと
布団を握りしめても針の音は続く
朝が怖いなんて
あなたのせい
優しさに包まれた時
会えないと思っていたのに
突然あらわれるから
優しさにまた甘えてしまう
強がってごめんね
どうしてそんなに愛してくれるの?
時が過ぎてあなたを失っても
この気持ちは忘れない
いつかその優しさは他へ向けられても
この時間を愛し続けるでしょう
もしもの話
もしあなたが居なくなったら
私は泣き崩れて
途方に暮れて
時間に運ばれて平気を探す
もしあなたが居てくれるなら
私はもっと素直になって
あなたのために朝食をつくる
1日の終わりに
ありがとうと毎日伝えるよ
もし、よければだけど
心に白
好きだよと言えたとき
あなたに一歩近づいた気がした
本当は分かっているのに
心を守る悪い癖と
少しずつさよならをしよう
真っ白なあなたに惹かれて
いつの間にか私にも流れ込んだ
心に白
あなたに愛を
今の私、ちょっと好きかも
fin d’un début
ある始まりの終わり