数えきれぬ旅立ち
はじまりの空
優しい朝日
新しい風
初めての道
はずむかかと
空に踊る桜
鳥たちが唄い
春の鐘が鳴る
そこにいたのは
まだ恋を知らないわたし
色
夏の坂道
爪先を眩しく照らす
思いきり駆け出す
想いがこぼれないように
耳まで届く心臓の音
空に浮かぶ入道雲
大きな影でわたしを隠して
誰にも気づかれぬように
誰にも悟られぬように
穏やかな日々が
鮮やかに色づきだし
わたしはただ一人
涙し立ちすくむ
真夜中のダンス
一歩踏み出すたびに
ふわりと足が浮かぶ
あなたを想うたびに
心が踊りだす
海の水面が揺れるように
風と唄うさざ波のように
聞こえるのは
月の歌声
紺色のカーテンにつたう
幾千の星
目をつぶれば
きっとまたわたしは
気づいてしまう
あなたへの想いに
小さな魔法
木漏れ日が香る
頬をなでる風
小さな手のひらに描く
3回のジンクス
あなたは知らない
こっそりとかけた秘密の魔法
心を揺さぶる
あなたの笑い声
こんなにも近いのに
縮まらない数メートル
握りしめた手のひらには
あなたへの「大好き」
待ち合わせ
恋を知った
愛を知った
この世はこんなにも美しい
いつもの駅のホーム
あなたを待つ幸せ
あぁ、どうしてこんなにも
ゆっくりと時は進むの
改札の音がするたびに
わたしの小さな心がはずむ
あなたはきっと知らない
あなたの「おはよう」が
こんなにもわたしの心を
満たすこと
Journey in to Chapter II
第2章へ続く
Chapter II
一つの光景
秘密基地
ずっとそばにいて
繋いだ小指
夕暮れの図書室
2人だけの秘密基地
あなたの温かい腕の中
一緒に描いた未来の約束
凍てついたわたしの心を溶かす
あなたの優しい瞳
終わらないで
まだそばにいて
甘くわたしを包みこむ
幸福の空
哀しみの結晶
探し求めた
魂のかけら
ぴったりとはまる
運命のかけら
やっと見つけた
そう思ったのに
いつしか小さくなって
いつしかはまらなくなって
それはまるで
手のひらに落ちた
淡い粉雪
ひらりと舞い散る
哀しみの結晶
終わりの時
あなたと歩く川沿い
おそろいの手袋
先を歩くあなたの背中
その暖かさをわたしは知ってる
だけど
揺れる木々が
灰色の雲が
空を舞う鳥たちが
優しく揺れる鐘の音が
終わりの時を告げている
お願い神様
あと少しだけ
伝えられなかった言葉
初めて見たの
あなたのあんな表情
わたしはついに
届かなかった
あなたの心に
触れられなかった
あなたの日だまりのような
優しい瞳
そのぬくもりに
ずっと甘えていたわたし
もっと伝えればよかった
もっと与えればよかった
はらはらと舞い落ちる桜の花
今はただじっと
見つめるだけ
新しい朝
伏し目がちな横顔
ふわりと香る洗い立てのシャツ
遠くで鳴る始業ベル
木々のざわめきに抱かれ
世界の音が消える
数えきれぬ旅立ちに
あなたと二人きり
ただ空の中だけでは
どうか優しいぬくもりを
どうかこのまま伝えてね
夜に願うのは
穏やかな余韻
朝には笑えるように
少しだけ踏み出せるように
fin d’un début
ある始まりの終わり