雨と虹のストーブ
雨
心の果てに雨が降る
恋に震えるカナリアは
迷子になって泣くでしょう
いえいえそれは蜃気楼
象牙の涙は十月十夜
あのひと気づいているかしら
わたしの心は気まぐれで
四も五もいらず
散りゆくことを
虹
心の果てに虹が降る
恋を忘れたカナリアは
勇気ひとつを友にして
いえいえそれは絵空事
象牙の船は十六夜の月
あのひと信じているかしら
わたしの心は行きつ戻りつ
浅き夢見じ
酔ひもせず
魔法のように
あなたの腕の中は
魔法のようにいつも
わたしの心をやさしくする
それなのに
わたしの気分は
泣いちゃいそうで
つがいの鳥が過ぎ去って
消えゆく今は
哀しい未来を伝えるように
水曜日
何も知らない
明日の輝き
何も知らない
若すぎる痛み
くよくよするのは
好きじゃないけれど
言葉ひとつもない
満員電車
手もつないでくれない
水曜日
いつの日も
あなたと生きているって
信じていた
それはもう過去のこと?
聞く勇気もなくて
苦い夢
ハネムーン
風車の見える
岬まであと3歩
フィラの坂道を下りたら
オレンジジュースと
かぼちゃのタルト
ハネムーン
イメロヴィグリから
マレジオスイーツ
あなたの心は
輝くりんご
触れてはいけない
苦い夢
Journey in to Chapter II
第2章へ続く
Chapter II
一つの光景
色のない風船
フェアウェルパーティーは
あなたの心が会場です
フィンガーフードを用意して
色のない風船と
ガーランド
味気ないかもしれません
それでもわたしはあなたのこと
いつまでも待っています
アイシテルなんて
軽いジョークも言えないくらい
美しい夢
雨の道
色褪せていく
鮮やかな夢
色褪せていく
運命の人
もう泣かないで
雨の道
一緒に歩いた頃
さようなら
こんにちは
深く深く
心に刻まれた季節
コンチェルト
わたしと別れて
どこへ行くの
なんて
聞かなくても
もうわかってる
わたしのこと
思い出したなら
瓶に手紙を詰めて
海に流して
もしもわたしに流れ着いて
手紙を風に飛ばしたら
永遠の愛の
コンチェルト
午後の屋上
渡り廊下で抱きしめられて
渡り廊下でキスをした
どうか彼女を大切にしてね
知っているのに
知らないふり
人気のない午後の屋上を
誰そ彼時と名づけましょう
ついぞあなたの口笛が
ロマンティックを止めるなら
まつげのちかきと虚空のとをき
さもあらばあれ
恋心
世界の果て
ふざけ合っていた
日曜の午後も
擦り切れていた
古いカバンも
冬に見失い
それきりになった
このさよならが
世界の果てにあるなら
道を失い
抜け殻になった
わたしを温める
ストーブ
fin d’un début
ある始まりの終わり