バラの空を回る小舟
旅
汽車に乗って
あなたの心の
あたたかい場所まで
やって来た
あなたのまなざし
あなたのぬくもり
ただうれしくて
はしゃいだけれど
この場所は
あなたが望むわたしのために
用意された場所
少しでも動いたら
さよならが待っている
わたしはいつか
あなたの全部に
会えるでしょうか
あなたへの旅は
どこにも行けない
旅なのでしょうか
愛しい人
午前七時
いつものように
花は見つめる
コップ一杯の水を
飲み干すわたしを
「いい天気だね」
あなたがくれる
やさしい文字
いつものように
花は見つめる
「遅れないでね」
指で紡いだ
わたしの文字は
あなたの元に
届きはすれど
悲しいうわさ
花園のブラウスは
アイリッシュ・クロッシェ
鮮やかなコサージュで
あなたに会いたい
花のように甘く
花のように苦く
何年も先のこと
何もわからないわたし
わたしはまるで
ひとつまみのおくれ毛
彼女とあなたのこと
何も知らない
悲しいうわさに
耳を塞いだ
希望
あのころ
またいつか
会えると信じていた
今はもう
永遠に
会えないと知ってる
あなたの腕の中
ひとつになった
さよならはしなかった
あなたはいつまでも
わたしの胸の中
あなたはいつまでも
わたしの胸の中
光に溺れる
輝く海を
鳥は知ってる
世界の果てを
わたしは知らない
どこへ行くの
わたしを置いて
鳥は与える
うつくしい詩を
やがて飛び立つ
明日におびえて
うつむくだけの恋ならば
光に溺れる
鳥になりたい
Journey in to Chapter II
第2章へ続く
Chapter II
一つの光景
迷い
タロット占いは
恋人の正位置
アダムとイブの
愛した花々
2人は知らない
さまよう未来が待つことを
わたしはおびえる
あなたがくれた
プラムレッドのルージュ
唇に塗ったら
悲しい未来が待つことを
空とゴンドラ
あなたは言う
「愛は、献身なんかじゃない
寂しさに耐えられない2人が
お互いの孤独を埋めるために
相手を閉じ込めるゴンドラなんだ」
わたしは言う
「あなたのゴンドラに乗って
空の高い所まで行きたい
そしてあなたの
夢や希望を教えてほしい
消え去ることのない
寂しさや孤独も
すべて」
後悔
見上げた空が
涙で滲む
まつ毛に絡む
伸びた前髪
ワタシハ
アナタヲ
アイシテイマス
帰らない船を
空に浮かべた
あなたはなぜ
ジョークを言えるの
これから夜が
押し寄せるというのに
迷子
ナイトマーケットは
ホットワインと
ホットチョコレート
あなたはちょこんと
指を絡ませ
迷子のわたしを
連れて歩く
あなたの姿が
見えなくなっていく
つながれた指の
あたたかさだけが
暮れなずむ恋を
つなぎとめている
あなたの心が
もうここにないこと
確信に変わっても
ひとつの希望
わたしじゃなくても
あなたは強く
わたしじゃなくても
あなたは輝き
どんな迷いも
どんな後悔も
乗り越えていける
花火が照らす
あなたの横顔
目を閉じて
あなたの心の
わたしの場所から
旅立つ決意
できたのは
あなたの残した
ひとつの希望
fin d’un début
ある始まりの終わり
○掲載されている写真の著作権は全てはち様に帰属します。
○制限規定の範囲を超える利用は、著作権者の許諾を得る必要があります。
○著作権法(昭和四十五年五月六日法律第四十八号)