角砂糖の時間は春の日に溶け
砂糖水の瓶
これはわたしの記憶
思い出すだけで
苦しくなってしまうのに
幸せだと感じてしまう
あなたとの時間は
幸せなものだった
砂糖水でおぼれるような
甘ったるい思い出
誰にも教えない
わたしだけの記憶
名作
あなたと過ごした時間
たくさん
たくさんある
それなのに
すべてが
恋愛小説の主人公みたいに
ロマンスの中で
終わってしまった
それでも私にとっては
時間を忘れて読みふける
名作だった
無垢な色
授業中
視線が合う
これまで色を感じなかった
世界が無垢な色に変わる
本で見たような
きれいなものじゃない
少し息苦しいような
胸が痛いような
気持ちになる
こんな気持ちは
私の知らないものだった
視線の先に
あなたのことが
気になって
つい視線を向けてしまう
あなたに
気づかれないように
そっと目を向ける
窓のそばに座るあなた
まるであなた自体が
太陽のようで眩しい
飴玉
初めてあなたと
話をしてしまった
のど飴を渡すと
嬉しそうにお礼を言う
わたしのことを
知ってくれていた
嬉しさに
顔が赤くなる
あなたの目に私は
どう見えているのでしょう
Journey in to Chapter II
第2章へ続く
Chapter II
一つの光景
議論の時間
同じゼミだという事実
これだけが
わたしたちのつながり
一緒に議論することが
こんなに楽しいなんて
知らなかった
わたしと違う見方をする
あなたに
わたしはどんどん
惹かれてしまう
このまま好きになって
いいのでしょうか
シロップの中で
新しい世界を
見てみたいと思った
あなたと共に過ごす未来を
想像してしまった
今のわたしは盲目
幸せ以外
何も見えていない
何でもうまくいくような
気がするのは
あなたが私に
笑いかけてくれるから
あなたとあの子
思いを伝えたら
終わってしまう
このまま思い出として
終わりたい
そんなことを考える
日向を歩いているあなたが
振り返ってくれるわけはなく
あなたは同じ日向を歩く
あの子を選ぶ
雨が降りそうな曇り空
見ていないと
自分に言い聞かせて
空を見上げる
角砂糖
苦しくなる
あなたと過ごす時間が
とてもつらい
わたしは知ってしまったから
角砂糖を舐めていたような
甘い気持ちが偽物だったから
ビターチョコレートを
食べているみたい
苦くて苦しいのに
いい経験だったと
自分に言い聞かせる
今日最期を迎える
同じ空間の中
別の世界で過ごして
今日最後を迎える
大切な思い出たちと共に
新しい世界へ旅立つ
あなたに
さようなら
今日最期を迎える
この冬の寒さと共に
さようなら
fin d’un début
ある始まりの終わり