8分間だけの両思い
恋心
ふわっと舞い降りた
わたしだけが知っている
この気持ち
やわらかくて
まあるくて
愛おしくて
あたたかい
誰にも教えてあげないの
傷つけられたいワケじゃないから
ずっとずっと
わたしだけのものだよ
あの人
女心なんてお構いなし
明るくて無神経で
悪いヤツぶったりして
飄々としてる
そんな彼のどこがいいの?
なんて
友達は言うけれど
わたしを外の世界へ
連れ出してくれる
ヒーローのような人
大好き
あなたがニガテな女の子
絶交したよ
短すぎるスカートの丈
膝まで隠したよ
短めの前髪
流せるくらいにのばしたよ
ねえ
わたしのことは知っている?
じっと目を見て話す癖
大好きだよ
カラオケ映えしない低い声
大好きだよ
レディーファーストなところ
大好きだよ
ううん、違うの
わたしを見てるときのあなたが
大好きだよ
ワタシのしあわせ
おいしそうにごはんをほおばるキミ
しあわせです
夢中でパズルゲームをしているキミ
しあわせです
好きな映画について語っているキミ
しあわせです
キミがしあわせそうだと
しあわせです
たとえ今
キミの隣にいる人が
ワタシじゃなかったとしても
彼
どんなわがままも
許してくれる
あなた
落ち込んでいたら
そっと頭をなでてくれる
あなた
わたしだけ
「好き」と言ってくれる
あなた
どうしてだろうね
それなのに「彼」を
追ってしまうの
そんなわたしさえ
許してくれる
あなた
あなたが
「彼」ならいいのに
Journey in to Chapter II
第2章へ続く
Chapter II
一つの光景
はなことば
「君に似合うと思って」
そういって連れてきたね
白い綿毛のサボテン
全然かわいくないじゃないって
あの日わたし少し拗ねたっけ
ねえ
いまキレイに咲いてるよ
あなたの
わたしの
サボテンの花
あなたが来るのを待っている
あなたのいない隅っこで
枯れずにずっと
粉雪のひとひら
冬の舗道で
凍りそうな手
グレンチェックの手袋を
左手にした
あなたのそばの右手にも
手袋をはめようとしたら
すばやくぎゅっとつかまえて
コートのポケットに入れてくれたね
幾度かまばたきをして
微笑み合った
あたたかかったな
手袋のリボンに
粉雪のひとひら
シュガー
いつも通りの顔して
頼んだブラックコーヒー
あなたの真似をして
考えゴト
あなたと
釣り合う私でいたいだけ
本当は今でも
シュガーとミルクが必要なのに
無理しているの
背伸びをしているの
ワタシ、かわいくなくなっちゃったね
雨の人
どしゃぶりのあの日から
雨の日だけ
あの人は来る
どんなに頑張っても
どんなにおりこうでも
雨の日だけしか
あの人は来ない
あの人はたぶん
「彼」の友達
楕円形の肖像を
ひとり読みふける
わたしの心は
一粒の雨
もう一度
空を見つめてみたい
2駅分の恋
はしゃぎすぎた帰り道
駅のホームで
たくさん話した
車内アナウンスは
急行の停車駅
わたしとあなたは
普通列車であと2駅
みんなが降りたあと
シンとした車内
それがわたしとあなたの
限られた時間
あと何回
この時間を過ごせるのかな
あと何駅で
この気持ちは伝わりますか
毎日毎日
2駅分を過ごしては
今日もあなたと
別れるだけ
わたしだけが
切ないだけ?
fin d’un début
ある始まりの終わり