もう一度、何度でも微笑む
終止符
「さよなら」
彼の目はわたしを見つめ
彼の言葉はまっすぐ
わたしを刺した
「さよなら」
小さな言葉は
重たげに宙を舞う
もう傍にいられないこと
もう心が通い合わないこと
知ってるから
こんなにも痛いんだ
この終止符を
受け入れること
どんな命題よりも
難しいこと
光
黒く塗られた世界に
輝く花火
空が解放されて
映し出される
ふたりの姿
瞬く間に消えていく
暗闇が続かないように
何度も何度も
輝きを放った
光
きっとこれからは
二人の世界
照らされることはない
何度も何度も
「きれいだね」
言い続けた
うつむいたのは
これから
夜が始まるから
地図
同じ道を
同じ未来を歩き続けた
道に迷う時も
つまずく時も
いつも一緒
同じ道を
同じ世界を歩き続けた
ふざけたり笑ったり
悩んだり迷ったり
いつも一緒
これから先も
ずっと続くと思っていた
歩幅が合わなくなったのは
いつからだろう
あなたの背中が遠ざかる
やがて訪れた
わかれ道
わたしはあなたと
別の道を選んだみたい
強がり
あなたがいなくたって
わたしは自由に生きられる
いつだって好きなところに
行くことができるわ
あなたがいなくたって
わたしは自由に恋できる
いつだって好きな人と
手を繋げるわ
あなたがいなくたって
寂しいことはない
ずっとこのままでいましょう
やさしさも寂しさも
感じることがないのなら
鏡
あなたの口癖は
わたしの口癖
二人でいること
あんなに自然だったのに
今はどこかに
逃げ出したい気分
あなたがいない今も
染み付いている
あなたの口癖
「これ、いいね」
わたしの口癖
あなたにも
染み付いたままなのかな
Journey in to Chapter II
第2章へ続く
Chapter II
一つの光景
甘い果実
余ったスイカ
じゃんけんをして
にらめっこ
最初からあなたに
あげるつもりだったけど
あなたとの
じゃんけんも
にらめっこも
ただ楽しくて
おいしそうに
スイカを頬張るあなたを
見ていたくて
おそろい
誕生日に買った
おそろいの時計
ゆっくりと静かに
二人の時間を刻んで
彼の左腕に
頼れなくなった今も
ゆっくりと儚く
針は進んでいく
さよならの合図が
響き渡った日から
わたしの心は
止まったまま
忘れない
あの時のあなたを
忘れない
まっすぐな眼差し
まっすぐな気持ち
わたしはあなたを
愛していただけ
これからのわたし
どこへ行くの
たくさんの失敗
たくさんの後悔
わたしはあなたを
愛していただけ
彼の世界
彼のあたたかな手
わたしを包み
いつもやさしい場所に
連れて行ってくれた
彼のあたたかな声
わたしを包み
沈んだ心を
救ってくれた
わたしはたくさん
やさしい場所を
巡ったわ
あなただから
見えた世界
あなたじゃなかったら
見えなかった世界
たくさんのこと
大切なこと
微笑む
少しずつだけど
前に進める気がした
悲しい雨が止み
あたたかな日射しを
胸の中に感じて
少しずつだけど
前を向ける気がした
今は小さくても
太陽に微笑む
向日葵のように
わたしはもう一度
わたしは何度でも
微笑むことが
できそうな気がした
fin d’un début
ある始まりの終わり