ロマンスのための十四行詩
甘い恋
恋って
甘いのかな
雲をながめ
聞いてみた
あなたは
ちっとも
甘くない
あなたは
遠くで聞こえる
雷
やがて来る
閃光のよう
消えてしまえばいい
わたしの恋心
真っ白になって
真っ暗になって
悲しみになって
消えてしまえばいい
絶え間なく
こみあげる
愛しさなんて
月虹
あなたが
いなくなった部屋
あなたが
置いて行った
たくさんの物たち
せめて
全部
捨てていいよって
言ってほしかった
そうしたら
この部屋は
もう少しだけ
明るくなるのに
月虹の夜
薄く
七色の光が
窓から差し込む
その光に
窓辺の花が揺れた
物語
花は知っている
これから
どんな昨日が
終わるのか
土は気づいてる
これから
どんな物語が
始まるのか
風に吹かれて
揺れている
わたしの心
あの人は
もう見えなくなった
ガラス細工
押しつぶされそう
小さな心
触れられるのは
いつかのあなただけ
その場所は
まぶしくて
目を塞ぐほど
ここは
霧に包まれて
少し苦しくなる
あの日の光景は
ガラス細工
あの日のあなたの
手の温もりが
今のわたしを
冷たくさせる
こんなにも
寒い冬の日
わたしは迷子
メリーゴーラウンド
順番を待つ間
チケットを握りしめ
回る光を見ていた
きっと
わたしは迷子
どの馬に乗れば
あなたを
見つけられるのか
わからないの
楽しげな音楽と
笑い声が響く
この場所で
わたしは
ひとりぼっち
くしゃくしゃのチケット
わたしはそっと
列から離れる
Journey in to Chapter II
第2章へ続く
Chapter II
一つの光景
流星雨
いつまでも
いつまでも
降りしきる
流星雨
まるで
何年も先の未来
この胸の中で
輝いては
消えていく
光のダンス
あなたへの想い
夜空に滲む
あふれる涙
そっと手を当てる
胸の鼓動が
大きくなる
今ならきっと
わたしには
あなたが必要
ノートの隅に書いた
投げやりな文字
伝えられたら
よかったのかな
今ならきっと
言えると思う
しっかりした声で
偽りのない気持ちで
傾いた日射し
熱いコーヒーを淹れて
思わず「ん」とつぶやいた
こんなもんじゃ
ないから
ね
ソネット
あなたを想って
小さな歌を
したためた
十四行詩
あなたは今
幸せだろうか
窓の外で
青が満ちる
あなたを感じる
心の奥のパレット
わたしはまた
新しい歌を
綴ることにした
あなたを想う
この瞬間が
永遠になると
信じて
キス
流せなかった
幾億の涙の一滴で
胸の中にできた
広くて深い海
空に蒸発して
雲になり
雨粒になって
あなたの頬に
キスをする
押し寄せる波
愛の刻印
地上を濡らす
やがて太陽が
顔を出したら
きっと可憐な
花が咲くのでしょう
部屋
お気に入りの
レコードに
針を落とす
Claude Debussy
「月の光」
淡い旋律
ほろ苦い空気
部屋の中に
あなたの存在
漂うけれど
もうここには
誰もいない
レコードは
ただ回るだけ
あなたと過ごした
季節のように
繰り返す
わたしの夜
そして
新しい朝が訪れる
わたし1人を
部屋に置いて
fin d’un début
ある始まりの終わり