雨粒をすくい、虹をかける
出会い
春がひらひら舞い落ちた
川沿いの菜の花
ピンク色の絨毯を
そろり、そろりと歩く
初めての満員電車
初めての教室
期待と不安で高鳴る鼓動
そこにあるのは陰か陽か
窓辺に木漏れ日が注ぐ
そう
モノクロームの世界に
あなたが彩りを添えた
躍動
退屈な日常にサヨナラ
私の細胞は躍動する
あなたの声に、視線に、指先に
トクン、トクン、トクン
のどかな午後
どこからか聞こえる
ノクターンのメロディー
私は瞳のシャッターをきる
ファインダー越しのあなた
想い
遅めの朝食とミントティー
ウェッジウッドのカップが
淡く染まる
週末は寂しい
静寂と相反する欲望の叫び
満たされることのない乾き
ゲーテの詩集を片手に
今日も想いを馳せる
欲張り
あなたが作る陽だまりを
ひとり占めしたいの
アフォガード
あなたの視線の行き先
知らんふりして
気づかないふりして
両手でギュッと
目隠ししてるの
空はどんより下り坂
立ち込める暗雲に
ため息がこぼれる
あの子はどう映るの?
私はどう映ってる?
バニラアイスにコーヒーかけて
私の恋は
甘くて苦い
深海
落ちていく
重力に逆らえないように
沈みゆく
果てしない深海へ
花も、風も、光さえも
無味へと変化した
そこにあるのは漆黒の闇
2人の後ろ姿が
執拗に私を苦しめる
見つめ合わないで
触れ合わないで
私の声はかき消され
あてもなく浮浪する
Journey in to Chapter II
第2章へ続く
Chapter II
一つの光景
ピエロ
幼い恋心は
小さな箱に仕舞い
鍵をかけよう
醜悪な心は
幾重にも包み
可愛らしくラッピングしよう
メイクを施し
赤い鼻をつけ
私はピエロになろう
泣かないわ
あなたのために
笑っているわ
自分のために
残響
放課後の帰り道
バイバイ
バイバイ
子どもたちの残響
大きな夕日が
あたり一面を茜色に染める
公園のベンチは指定席
イチョウの葉も散ってしまった
人づてに聞いた
しまっていた想いに
再び宿る痛み
一筋の光
物憂げな横顔
うつむくまつ毛
乾いた唇
凍てつく夜には
全てを包み込みたい
震える指を
握りしめたい
何を求め
何をつかむ
この旅路はまだ終われない
あなたの一筋の光に
私はなりたい
80センチの距離
口に出したら
崩れ去る
脆く儚い砂の夢
臆病なウサギは
前にも後ろにも進めない
願いをそっとつぶやくの
ピアニッシモのささやき
手を伸ばしたら
届きそう
80センチの距離
花束
戦場に向かう戦士は
望郷の念を砕く
恐れず踏み出す
一歩一歩
ちっぽけな私は
手のひらほどの勇気を
握りしめた
雨粒をすくおう
虹の欠片をつかもう
明日あなたに届けるわ
胸いっぱいの花束を
fin d’un début
ある始まりの終わり