エンドロールの中で終わる
セピア色のカンツォーネ
頬にあたる風が
気持ちいい
そう、あの日も
こんな風が吹いていた
カンツォーネが流れる店の
窓際の席
眼鏡を曇らす貴方が
とても愛しくて
瞬きするのももったいないって
思う自分も愛おしかった
ビターなココアを
飲めるようになったの
知らないでしょ?
返事はないのに
話しかけてる
自分がなんだか滑稽で
ちょっぴり悲しい
regret to you
あなたの香りを街で感じると
反射的に立ち止まってしまう癖
顔や声は思い出せないのに
なぜだろ、笑っちゃう
強がってたあの頃
真剣な眼差しで夢を追いかける
あなたをはぐらかしてばかりだった
立ち止まるたびに
regret to you
ナイショの流れ星
あなたは寝息を
たてているころ
二人で見上げた満天の星空に
見つけたいつかの流れ星
消えないうちに
願いごとしたの、覚えてる?
「願いごとは
声に出しちゃダメ」
叶ってくれなきゃ、困るでしょ?
お願いすること
きっとわたしと一緒だから
偶然
混み合う電車で
偶然見つけたなつかしい人
あの頃
わたしを見つめていた瞳は
別の誰かを見つめてる
あなたの腕にすっぽり入るその人は
わたしとは全然ちがうtinyな人
まさか別々の時間が流れるなんて
思いもしなかったあの日
次の駅で降りるまで
どうかわたしに気づかないで
蒼いとき
キミの名前とわたしの名前
机に書いた相合い傘の落書き
まだ残っているのかな
通い慣れたあの坂道を
また一緒に歩きたいなんて
思うのは
きっとわたしだけだよね
顔が遠くて、話すたびに
見上げてたけど…
ほんとに遠くに行っちゃった
ねぇ、こんなわたしを笑わない?
笑うなら…わたしの背中を
早く押してよ
Journey in to Chapter II
第2章へ続く
Chapter II
一つの光景
ドライフラワー
嫌われて
ぜんぶ忘れ去られてしまうなら
いっそわたしを許さないで
そして憎んで
そしたらずっと…きっとずっと
わたしのことを忘れないでしょ?
色は褪せても
あなたの記憶に残るなら
憎まれることも上等だから
最後のお願いぐらい
お願い…聞いてよ
Mon chéri
夕日に溶けこむパリの街並み
油絵みたいでとてもキレイ
「モンシェリ」
わたしの愛しい人
あなたの夢にしのびこんで
今夜も逢いにきたわ
あなたが眠っている間だけは
わたしに振り向いて
そして抱きしめて
涙雨
雨音で目覚めた朝
銀色に光る無数の雫が窓を伝う
昨日から広くなったシングルベッド
一人きりじゃ
こんなに冷たく感じるんだね
あなたは体温が高くて
「まるで毛布に
包まっているみたい」って
笑い合ったのが嘘みたい
こんな寒い朝は
湯たんぽ君が恋しくなるよ
涙雨が頬を濡らす
ミルキーウェイ
「風になろう」そう言って
笑顔のキミは腰に引き寄せる
キラキラ輝く銀色の絨毯は
まるで宝石を散りばめたみたい
8ミリ映画のように
流れていく景色に胸が躍った
二人して芽吹きの風を纏いながら
「このままどこかへ
連れ去ってくれる?」
大きな背中のキミは
ちょっぴり大人の香りがした
エンドロールが終わるまで
大音量の箱の中
スクリーンに夢中のキミ
二人の間に流れ続ける静寂
いつからだろう
こんなに近くに
そばにいるのに…
遠くに感じる
オーバーラップする
彼女のセリフ
泣いているのは映画のせい
エンドロールが終わるまで
わたしの涙に気づかないで
fin d’un début
ある始まりの終わり