どこか悲しい恋だった

恋愛詩集

あなたは荷物を置くように

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湖のように澄んだ表情を見て


砂時計の最後の砂が


落ちたことに気が付いた


今まで優しかったのも


今まで近くにいれたのも


全部は夢の世界の話


あなたは荷物を置くように


わたしを置いて去っていく

あの日の空の高さ

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一緒に行った遊園地


暑い日差しから


逃げるようにして


観覧車に乗った


ゆったりと地上から離れて


ミニチュアみたいな街並みを


ただ静かに眺める


あの人にはきっと


一日だけの何でもない記憶


けれどわたしは


上から見た街の複雑さを


あの日の空の高さを


一生、忘れられないと思った

小さな子供

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優しい人だと


知っていたから


わたしに対して


無理をしてくれていると


なんとなく気づいてた


それでも隣にいたくて


精一杯鈍いフリをして


小さな子供みたいだね


あなたの無理の上に成り立つ


安心感に甘えてごめんね

別れの言葉も聞こえない

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土砂降りの帰り道


跳ね返った飛沫が


足元を容赦なく濡らす


靴がこんなに汚れてくれるから


わたしは心を汚さずに済んだ


雨を押し切るように


滑ってきた電車


逃げるようにして


乗り込んだわたし


こんな雨だと


別れの言葉も聞こえない

別れの曲

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恋を失うと書いて「失恋」なのに


わたしは何も


失うことができない


大切だと思っていた感情を


大切にしないことの難しさ


手放したくないほどの恋慕を


手放すことの耐え難さ


別れの曲を書いたショパンは


どんな気持ちだったのか


200年前に戻って


たったひとつ


それだけを聞きたい

ヘンゼルとグレーテルのように
パン屑を撒きながら歩く
やり直したいことや
言いたくなかったことが
溢れるほどあるから
過去に戻れないことは
とっくに知っているのに

Journey in to Chapter II
第2章へ続く

Chapter II
一つの光景

この恋を忘れたい

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椿の花が


頭から落ちた


「ありがとう」


それだけ言って


距離を取ったあの人の背中が


思い浮かんだ


わたしを傷つけないように


優しく柔らかく


けれどしっかりと


突き刺すような拒絶


土に汚れた椿を見て


この恋を


もう忘れたいと思った

存在

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うつろいゆくものは


本当にたくさん


数えきれないほどあるけれど


甘いミルクティーは


いつどんな状況で飲んでも


いつどんな感情で飲んでも


心に膜が張るくらい


やさしくまろやかに甘い


変わらないものの存在を


知っているのはたぶん良いこと

あの人から旅立つために

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あの人の手の温もりを忘れたい


あの人の優しい声を忘れたい


そうして自分の傷を


悲しい願望に変えながら


あの人のことを


少しずつ忘れていく


涙で結露した心臓を


外の風にさらして


とことん乾かして


あの人から旅立つために

この色だけは

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何色も入り混じる夕焼けが


あまりにもキレイで


不意に思い出した


あの寂しそうな横顔


一緒にはいられないのに


もう忘れると決めたのに


それでもこの夕焼けの色だけは


あの人に伝えてあげたかった

どこか悲しい恋だった

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かたい指先が


髪の間を柔らかくすべっていく時


わたしの心臓はいつも


ぎゅうと強く締まった


結局最後まで言えなかった


頭を撫でてもらうのが


何よりも好きだったこと


いつも胸が締め付けられて


どこか悲しい恋だったこと

fin d’un début
ある始まりの終わり

一かけらの今

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あなたに告白するのは きっと 恋の終わり あなたをあきらめることは きっと 恋の始まり 思い出だけ それでいいの いつかは今が コワくなるから

プロフィール

relation