Talk With You|恋愛詩集 by 水木なぎ
Mint
ミントグリーンのシャツ
袖に含んだ空気
春の風が奏でる
対角線上の席
君の襟元が曲がってるとか
寝グセが直ってないとか
遠目にも気づいてしまうな
君のことなんて見てない
3回に1回しか教えてあげない
Unknown
この箱の中
君の気持ちが書いてある
開けずにそっと 仕舞っておく
一言で 世界が変わってしまうなら
知らないまま
答えを持たないまま
二人の未来を見てみたい
どこにたどり着くのか
急がない
遊覧飛行
二人の未来に漂っていようよ
夏まえ
カタカタ震える室外機
音楽を止め
遠い日の約束を想う
心に張り付く言葉
夏が来る前に
同じ歩幅で縮めた距離
戻せなくなることを知っている
「楽しみにしてる」
後戻りできない日々へと続く
夏までの決断
First Bouquet
君は持ちたがらなかった
照れながら手渡された最初の花束
ガーベラのように真っ直ぐで
何も要らないと言いたげに葉っぱを置いて
伸びて行く君
これは何度目の花束だろう
花の名前はいっこうに覚えない君だけど
これからも
何度目だろうと最初の君を思い出すよ
Pocket
ぎこちない会話も
手に汗にぎる沈黙も
そんな君だから
いつもの自分がどこかに行ってしまう
駅に向かう足取りは何か言いたげで
手なんて つなごうとしたこと
一度もないのに
今までそうしてきたかのように
手を伸ばす
君のポケットの中
やっと伝えられた
Journey in to Chapter II
第2章へ続く
Chapter II
一つの光景
Souvenir
NY土産のカサは内側に青空が描かれていて
それさえあれば雨の日はハレだった
プレゼントのセンスと気持ちは
比例してると思っていたけれど
君はただ
私にプレゼントするのが好きな人だったんだね
雨だと分かっていながら出かけた日を
カサが思い出に変えてくれた
My Words Room
愛の言葉を部屋いっぱいに張りめぐらせて
君を招待する
透明な絵具で描いてあるから
君は一つ一つ
声に出して読んでくれたらいいよ
Short Story
君はまだ
色あせたキーケースを使ってる
もう、いいよ
って言ったのに
また会えるなら
30分
30分間がいい
30分で君をまた知り
想いを詰め込んで
30分間のストーリーを
見つめたままでいて欲しい
30分後に背を向けるまで
君の心を知る前に
また 続きが見たいから
Song
じゃあね
手渡されたアルバムの中
「遠くの君へ」
ほんとに 遠くまできちゃったよ
つぶやいて
タイトルをなぞる
初めて見る君の字
君の想いが
託されていた訳じゃなかったと
後から知ることになるなんて
別の曲を
たくさん たくさん聴いても
消されない
それでもずっと
君とある唄
Talk With You
やさしさを
返せなかった
後から心が傷(いた)んでは
離れないのは
君を想い続けるためだった
側にいた時間をとっくに過ぎても
君が住む街の天気予報
こっちの方はまだ
朝の空気がつめたいよ
今もまだ
勝手に心が 君に話しかける
fin d’un début
ある始まりの終わり
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