青空のセシル
愛は抱擁する
愛は抱擁する
あなたの唇から
遠く離れた切なさを
愛は抱擁する
あなたのぬくもりから
遠く離れた悲しみを
愛は抱擁する
あなたがくれた
ひとつの言葉を
愛は抱擁する
途方に暮れる
幼い恋を
別れのワルツ
テーブルに置かれた
2つのカップが
主人の帰りを
待っている
あなたと話した
他愛のないこと
「もう帰ろうか」
別れのワルツ
別れの合図は
いつもあなたからだった
残酷だけど
あなたの選択
あなたの決意
あなたの強さ
わたしには
うつむくことしか
できなくて
笑顔
あなたの影が
伸びていく
でもわたしには
届かない
いつか願いが叶うのなら
あなたの背中に
追いつけるような
わたしになりたい
あなたの恋人に
なれないのなら
あなたの指先に
あなたのぬくもりに
わたしはなりたい
あなたに
もう2度と
会えないのなら
残照
第2校舎の屋上で
あなたと
口づけをした
ダッフルコートから
シトラスの香り
あなたの目に映る世界が
わたしの世界のすべてに変わる
残照を胸に焼き付けて
たくさんの夜が来る
幾千の色のチョークで
黒板に描かれた招待状
でも
もういいの
夕暮れ色に染まる
あなたの横顔の中に
あなたの目線の先に
消える世界に
留まりたい
ただそれだけ
言い訳
あなたがわたしに
落とした影は
やがて来る夜に
おびえてる
臆病な子羊
カーテンを閉めて
闇を拒む
「誰よりも深く
あなたを愛してる」
そう言えたら
どんなにかいいでしょう
あの子より深くあなたを
愛してるって言えないのは
あなたに笑っていてほしいから
あなたを困らせたくないから
わかってる
それは言い訳だってこと
それは詭弁だってこと
それでもかまわない
あなたがまた
抱きしめてくれるなら
Journey in to Chapter II
第2章へ続く
Chapter II
一つの光景
ラストシーン
あなたの隣に
ふさわしいのは
誰なのでしょう
わたしの隣に
あなたは座って
くれるでしょうか
そして
誰にも気づかれないように
そっと手を
握ってくれるでしょうか
いつか観た
モダン・タイムスの
ラストシーンみたいに
2人がいた場所
指先ほどの
恋心
夜はまだ
忘れられない
2人がいた場所
朝はもう
来なくていい
2人がそこに
いてくれるなら
夜はもう
明けなくていい
あなたがいた
あの場所がある限り
聞かせてほしい
虹は答えない
それは終わった夜だから
虹は答えない
今このときが
何よりも遠い未来だから
わたしは手をのばす
苦くて甘い旋律
いつかまた
聞かせてほしい
あなたの夢を
あなたの失敗を
あなたの弱さを
街に飛び込んで
虹のたもとで
レモンクリームのタルト
もう泣かないで
わたしの恋心
青空のセシル
悲しみよさようなら
もう
1人じゃないって
思わないでいて
青空は
昨日の空じゃない
悲しみよさようなら
もう
2人じゃないって
思わないでいて
きっと
これからは新しい空
いつかまた逢う日まで
無辺の光
あの鳥が帰る場所
輝き
わたしの胸の
ずっと深い場所
明日が来るの
明日が来るの
なぜって
それは
心の輝き
絶え間ない春
影が訪れても
恐れないで
きっと越えて
きっと越えて
また輝くわ
あなたは
わたしの希望
悲しみを越えて
あなたの頬を
花びらがかすめたら
わたしのこと…
いつかあなたが
「いいね」と言った
あのメロディーを
そっと思い出して
fin d’un début
ある始まりの終わり
○掲載されている写真の著作権は全て嵐田大志様に帰属します。
○制限規定の範囲を超える利用は、著作権者の許諾を得る必要があります。
○著作権法(昭和四十五年五月六日法律第四十八号)