幸せを祈りたい
傘になるとき
どんなに雨が
降ったとしても
あなたは
傘をささない
ぼんやりと
ピロティの影から
校庭を見ていた
雨の中であなたは
なぜだか楽しそう
傘を渡しても
「いらない」って
言われるの
わかっているから
いっそ
傘になれたらいいのに
そのとき
わたしはうれしい
あなたと話せて
うれしいの
ヒドイ噂
わたしと彼が付き合ってるって
隣のクラスで話題になってる
ヒドイ噂
根も葉もないって
きっとこのこと
そんなワケないのに
わたしが彼の彼女だなんて
毎日毎分毎秒
わたしが神様にお願いしてること
もしも噂が本当なら
わたしは神様の存在を信じるわ
もしも噂が本当なら
わたしはこんなに苦しんでない
真実
永遠を信じない
目の前にある
あなたの背中
それだけが真実
占いを信じない
わたしの手を引く
あなたの強さ
それだけが真実
失恋を信じない
この胸にある
あなたへの想い
それだけが真実
希望
ベッドに入って
あなたがくれた
「また明日」の文字
いつまでも見ていた
画面に触れると
あたたかくて
涙が出た
わたしの顔を
白く照らす
あなたがくれた
希望
もっと微笑みを
もっと遊ぼうよ
息が切れるくらい
あの丘の上まで走って
もっと話そうよ
真夜中の正午過ぎ
星たちのパレードの中
もっと微笑みを
見せてくれるなら
泡になっても構わない
「僕らはみんな一人」なんて
悲しい歌を歌わない
あなたをそのまま保存したい
Journey in to Chapter II
第2章へ続く
Chapter II
一つの光景
楽園の扉
あなたの席の
斜め後ろの席に
変わってから
1秒だって
0.1秒だって
無駄にしたくない
あなたがノートを広げて
ペンを手に取って
ペンの色を変えるとき
その瞬間が
わたしにとって
楽園の扉になる
あなたとわたしをつなぐもの
付き合ってるとか
付き合ってないとか
そんなこと
わたしはどうでもいい
あなたのキスが
たとえ冗談だとしても
ただそれだけが
わたしとあなたを
つなぐもの
甘いイチゴを食むように
清く正しく美しく
純と不純
好きだったものと
結ばれなかったことが
純だったとは思わない
好きだったものと
結ばれたことが
不純だったとは思わない
酸っぱい葡萄みたいに
負け惜しみだったと思う
あなたが好きだったものは
何ですか
純ですか
それとも
不純ですか
わかっていること
あなたに
さよならを言ったあと
わたしは
腕時計を水に浸けて
壊した
それから
わたしの左腕には
秒針の動かない
屍
進むことも
戻ることもない
ただわかるのは
あの時のままということ
すべては
あの時のままということ
幸せを祈りたい
あなたの大切な彼女に
わたしが敵うわけないよね
二人で歩いた公園
二人で食べたごはん
二人で眠った夜
わたしはどこにも
いなかったんだから
あなたと彼女の時間
それはあなたにとって
かけがえのないものだから
わたしの居場所はないよね
どうか彼女を大切にしてね
あなたの幸せを祈りたい
fin d’un début
ある始まりの終わり