同じくらいの優しさ

花のように

夕焼けのせい

出典: unsplash.com

夕焼けが反射する図書室


誰も居ない空間は


あなたと私のために


作られているみたい


涼しくて清潔で


夏の夜みたいな独特の香り


ここで好きって言ったら


どんな顔するだろう


あなたの目が赤く見えるのは


夕焼けのせい

たった一人の掌

出典: snapmart.jp

新しいシューズ


新しいペン


それでも満たされないなんて


よくばりだなと思う


どんなに願っても


なかなか手に入れられない


本当に必要としているのは


たった一人の掌


あなたの掌

青を掲げる

出典: snapmart.jp

空の青と


海の青は


少し違う


そう言いながら


絵の具を混ぜる姿を


焼き付けるように見つめた


母なる海というくらいだし


少しくらいは私にも


青が入っていると思うよ


あなたはその言葉に笑って


誇るように


また青を掲げた

後世に残したい

出典: snapmart.jp

校庭を駆けるあなたの


日焼けした脚


夏の樹のように


活発な笑い声


強い日差しを受けて


ぐんぐんと風を切る髪


あなたを形作る全てが


映画みたいに完璧で


あぁ、この瞬間を絵に描いて


後世に残したい

この想いが届かなくても

出典: snapmart.jp

この想いが届かなくても


星は夜の配置につく


世界になんの変化もなくて


ありふれた日常が


また淡々と巡ってくる


そう思うと少しおかしくて


小さく息が漏れた


悲しいんじゃなくて


寂しいのでもなくて


その途方もなさに


目が回るだけ

あなたのこと
ネモフィラみたいだと
ずっと思ってた
あなたの好きな色だし
空に向かって
まっすぐと咲くから
私にはその凛々しさが
たまに眩しい

Journey in to Chapter II
第2章へ続く

Chapter II
一つの光景

始まりの色

出典: snapmart.jp

シャガールの絵みたいな


幻想的な恋をしていた


淡さと


鈍さと


相反する孤独


白い素朴な壁にかけられた


その絵画を見て


いつも私は


始まりの色を探していた

あなたの手で終わらせて

出典: snapmart.jp

瞼を閉じた暗闇の先


浮かび上がってきたあなたが


楽しそうに首を傾げる


アルタイルの話をしよう


ベテルギウスは知っているかな


あなたに合う星の名前を


いくつか考えていたのに


気が付けば夢の中


空想の宇宙旅行を


あなたの手で終わらせて


あなたの手を握らせて

果てない余白

出典: unsplash.com

ノートに書いた「愛」の文字が


白紙の空を駆け出して


馬のようにも


鹿のようにも


気高い山羊のようにも見える


音も出さずに


とても静かに


果てない余白を駆け回ってる

どうか100年後に届けて

出典: unsplash.com

校庭の隅に


ひっそりと佇む大木


両手を広げて


私を迎え入れてくれる


こすれる葉っぱに


蒼風を受けて揺れる影


このたくましい木に


言葉をひとつ


聞かせてあげる


どうか100年後に届けて

同じくらいの優しさ

出典: snapmart.jp

窓から見えるサクラ


風に運ばれる純白の雲


しゃらんと音を立てて揺れる


薄黄色のループカーテン


この気持ちのいい午後を


どうにか丸めて


ポケットに詰めて


あなたに届けられたらいいのに


優しいあなたには


同じくらいの優しさをあげたいから

fin d’un début
ある始まりの終わり

一かけらの今

311,979 views

あなたに告白するのは きっと 恋の終わり あなたをあきらめることは きっと 恋の始まり 思い出だけ それでいいの いつかは今が コワくなるから

プロフィール

relation

about

うれしいって本当は、悲しくてつらいこと

かなしいって本当は、やさしくてあたたかい

小さなバラの雨が、今日も明日も降って

心は涙になる
about

recommend