透明な自由、そして悲しいわたし
さまよう鏡
どんなに綺麗な女優さんでも
似てるってあなたには言われたくない
誰のふりでも真似でもない
わたしだけのわたしを教えて
自由落下
高いビルから落ちる夢を
きのうの夜久しぶりに見た
多分ベッドが広くなったから
そして引きとめる人が
いなくなったから
これも自由って言えるのかな
目が覚めたら、予定のない休日
ハウリング
涙は出ないけど瞼は重い
やだよって泣けたらよかったのかな
泣けないくらいに強いから
ひとりになってしまうのかな
あなたのために紡いだ言葉も
流れて消えてしまうのかな
今になったらもう遅いよね
声に出ないまま叫んでみる
迎えた朝に
わたしは透明なくらげになって
夜明けの街を漂う
優しかった人
好きだった人
透明なゼリーが胸を満たして
まだどんな気持ちにもなれない
怒れなくて泣けなくて
まだひとり漂っている
リフレイン
コンビニの誘蛾灯に惹かれて
食べたくもないのにスイーツを買う
『新商品』につられたんだから
あなたをなにも責められないね
駐車場のブロックに座って
プラスチックのスプーンを噛む
悪い癖を叱ってくれる声が
まだ耳の貝殻の中にある
Journey in to Chapter II
第2章へ続く
Chapter II
一つの光景
蘇生する花
聞いて
不思議なことに気づいたの
あなたを忘れる努力をやめたら
少しずつ苦しさが薄れてく
ずっと忘れようとすることで
傷ついていたのかもね
悲しいことだけ透けていって
楽しかったことが溶け残る
甘いコーヒーを飲んだ最後に
スプーンで掬う砂糖みたいに
体があなたを代謝していく
イノセントノート
窓を開けて冬の空気を吸うように
あっけなく砕けるガラスのように
早送りで咲く花のように
目が覚めて
また誰かを好きになれる
私になる
Calla lily
多分いまあなたに会えたら
笑っておはようって言える
あなたのことを好きだった私も
かわいい人だったよね
上を向いて咲いていた
白いカラーの花みたいに
夢を見ること
夢の中なら飛べるって
教えてくれた人がいたの
試してみたくて夜を待って
ベッドの中を泳いだ
あの日にも見たビルの上
夕焼けだったことに今日気づいた
羽を生やそうとしたけど
やっぱり落ちて
胸がドキドキして目が覚めた
ままならないままの私だけど
今はそれも楽しい
「だめだった」って
メッセージを送った
天使と泣き笑いの絵文字を並べて
リンクする光
ふわふわの寝間着
ソイミルクココア
ルビーチョコレート
好きなもの 素敵なもの
なにもかもが誰かに繋がる
昔聞かせてくれたことわざみたいに
左手の薬指と心臓のように
リンクする光
それがわたしの幸せになる
fin d’un début
ある始まりの終わり