無口な恋とシンパシー

無口な恋とシンパシー
恋愛詩集

わたしの声

出典: snapmart.jp

遠くで鳴いている


鳥も海も裏側で


あなたへと向けている意識を


まぶたの端へと


追いやるたびに


わたしの声は


比例して聞こえてきた


声が大きくなるごとに


発する前の呼吸は長くなる


答えはこんなに近くに


存在していた

背く

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小さく肩を落として


帰路についたまま


玄関で往生している


ぼんやりとモヤまで


部屋についてきた


あなたは背中を向ける


回数が増えて


声だけでは判明しない


釈然としないこと


わたしの後ろについて残る

雨足

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風が長くなると


窓から夏が流れてくる


影は軽くなっていく


少しあごを上げ


カレンダーの日をめくる


予想外のタイミングで


雨足は騒ぎ走り去る


アスファルトの通り


あっという間に変色して


そうだ普段より


空を読む時期だ

シンパシー

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正解さがしのシンパシーに


終止符のピリオドを打つ


いつのまにか


身についていた反応


匙を投げていい


あなたの前


素直さは実りになるといい


ささいな変化に感づく


あなただから


シンパシーの頷きは


もうやめていこう

星座とロマン

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寝転んで星座を眺めると


静かな夜でも


音にあふれて


光にうずく 


暗闇で眼は見開くもの


置き忘れていた


じっと動かない恋


気づいたときに


紐付ける考え


巡る創造を


止めてしまうのかな

昨日から佇んでいる恋
寄り添いあって
すくい上げると
やわらかい表情をして
励ますより安堵している

Journey in to Chapter II
第2章へ続く

Chapter II
一つの光景

つぐむ

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沈黙が流れても


気にならなければ


近しい間柄なのだと


耳にした


けど底にある


わたしの本音


シンプルなことばかり


言い表すのは簡単


あなたへ発する声は


脆い分だけ鋭いから


大切につぐむ

猫の背中

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しーっと息を静めて


庭にきた猫がいる


何を考えているのか


謎の眼差し


水たまりをひょいと飛ぶ


自由に伸びる背中


追いかけた姿は


知りたい憧れが


延長にあって


引き寄せられた


あなたによく似た


引力をもっているから

細波

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わたしが投げれば


跳ね返ってくる


石とボール


反応した弾みを帯びて


水面に投げ入れる


さざ波は細やかに揺らぎ


影響した模様を広げ


向こう側へ渡っていく


残響を覚えるように


なにか焼きついた光景

ダイアローグ

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話さないと


わからないこともあるし


無言で沁みわたる


しあわせな温度もあって


どちらも汲み取り伝わる


コミュニケーションだった


ふたりの感情表現


ひとつじゃなく違うのが


自然なダイアローグ


注意を計らうこともなく

夕焼け

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焦げた夕日を


前に立ちつくすと


まだ時々いとしくなる


ふと時々さみしくなる


訳もなく胸が騒ぐのは


お祭り前の静けさに


どこか気配が似ているせい


なにかが欠けると


なにかを招く予感


今度あなたに会うときには


美しく感じるままに


過ごせそう

fin d’un début
ある始まりの終わり

一かけらの今

あなたに告白するのは きっと 恋の終わり あなたをあきらめることは きっと 恋の始まり 思い出だけ それでいいの いつかは今が コワくなるから

プロフィール

relation