空が落ちてくるほどの自分勝手な絶望
恨みたいほど
好きな人の好きなもの
些細なことでも知りたくて
メモに残したりしてた
イギリスのロックバンド
特殊能力を使う主人公
口の中が痛くなるジュース
ショートカットの女の子
あなたがあまりにも
楽しそうに話すから
恨みたいほどの気持ちだよ
自分の長髪に
心臓を縛られて
この感覚のはじまり
遠い昔の記憶
密度の高い温もりの中で
安心しきって
眠っていた
そんな絶対的な安らぎを
あなたにも
感じていた
なにか特別な雰囲気で
どこかで繋がっているようで
この感覚のはじまりを
どうしても知りたくて
あなたを
手に取ってみたかった
異常気象のせい
特別なことなんて
何もなくて
ただあなたがいる空間に
偶然わたしがいる
そう思うようにしています
あなたの周りが
さざめいて見えたり
あなたに触れられたところが
熱かったりするのは
異常気象のせい
この理不尽をだれか止めてほしい
表情と感情
日々の中で
小さな嘘をつく
何度も 何度も
自分を守るために
足元は削られて
むき出しの木の根
それでも大切なのは
表情と感情
繭にくるまっているかのように
取り繕って
塗り固めて
踏みつけにするのは
何万本もの命
安堵と嫉妬と諦念を抱えて
好きな人の好きなもの
書き記していたメモ
捨てることは
できないけれど
昔のノートに挟んで
棚の奥深くへ
あの子と並んで歩く
完璧な後ろ姿
目をそらさずに
いられたら
100年経ったかのような
安堵と嫉妬と諦念を抱えて
Journey in to Chapter II
第2章へ続く
Chapter II
一つの光景
あなたの面影を見る
理解している
そういうフリをしながら
期待まみれの日々
この衝動から
逃げ出したかった
わたしにしか見えない
光と影が
船のように揺れ動き
散りゆく木の葉に
あなたの面影を見る
人生最大の欠点
あまりにも優しく
雨が降っていたから
あなたの声をこの静けさに
混ぜてみたくなった
きっと淡くて薄い緑
あなたの声はいつも丸く
透き通るほど柔らかいから
その声が手に入らないことが
人生最大の
欠点に思える
恋愛なんかに負けてしまう自分
戦ってやる
主人公になった気持ちで
わざと乱暴な言葉づかい
鼓舞したのは
恋愛なんかに
負けてしまう自分
紅茶に溶かすのは
染まらない強い覚悟と
揺るがない堅い決意と
抑制した甘い感情
飲み干して
我慢を知られる前に
あなたの中のわたしの存在
あの子を大切にしている
実感すればするほど
鏡のように反転する心
どっちが本心で
どっちが嘘か
もう分からなくて
分かりたくもなくて
蓋をする
あなたの中にわたしが
少しだけでも存在していれば
もうそれでいい
形に残さなかったことに
意味があるのだと思いたい
自分勝手な絶望
やさしいあなたを
誠実さから
遠ざけたくはないから
ガラスの家をつくる
誰にも見えないように
ひっそりと内側に
熱情を押し隠して
あなたとあの子の
帰り道
わたしだけが知っている
道端の花の誠実さ
あなただけが知っている
小さな木の実の鮮やかさ
これは自分勝手な絶望
空が落ちてくるほどの
fin d’un début
ある始まりの終わり