恋愛詩集

恋の始まりと、恋の終わり。終わらない始まりと、ある始まりの終わり。
それが恋愛詩集です。
恋が叶っても、恋が叶わなくても、それは世界でたったひとつの物語。
恋する気持ちが終わることはありません。
あなたの勇気が、一かけらの今を、切ない恋の詩を彩ります。

恋愛詩集

数えきれぬ旅立ち

伏し目がちな横顔 ふわりと香る洗い立てのシャツ 遠くで鳴る始業ベル 木々のざわめきに抱かれ 世界の音が消える 数えきれぬ旅立ちに あなたとふたりきり ただ空の中だけでは どうか優しいぬくもりを どうかこのまま伝えてね 夜に願うのは 穏やかな余韻 朝には笑えるように 少しだけ踏み出せるように

恋愛詩集

すべての一瞬がある場所

あなたと 一緒になった帰り路 横断歩道の真ん中 シャツの袖口 そっとつかんで 「もう少し一緒にいたい」 何を言っているのだろう 心臓が破裂しそうで 一瞬がこんなにも長く感じるなんて あなたはやさしく微笑む 「また明日」 横断歩道を渡っていく 背中を見送った 横断歩道から横断歩道までの たった100メートル それがここにある わたしのすべて