あなたがいた旋律
四重奏
国道に続く
川沿いの道で
サクソフォーンの
四重奏
ラフマニノフ
不揃いのエチュード
ソプラノの音色が
耳に残った
マザー・テレサが
最期の時を待つように
沈みゆく船に
想いをゆだねて
小さな願い
思い描いていた
未来とは違う
それはもう
過去のこと
これから先の未来
波音のように
受け入れていたい
もしもあなたが
この花を
受け取ってくれるなら
もう涙は流さない
もう何も恐れない
きっと大丈夫
小さな願い
めぐり合う季節
光と影
あなたの胸に
この輝きを
届けたくて
手の平を広げて
つかもうとした
光の射す場所
もう二度と
失いたくない
あなたの笑顔
もう一度
繰り返してもいい
ためらいの中の
二人の影を
冬に咲く花
浮かれた街の
恋人たちから
遠く離れて
孤独の道
冬に咲く花は
あなたの涙を
包み込む
決して古びない
その悲しみは
いつか宝石になる
時を刻む
秒針のように
進むべき道
間違えること
あなたとなら
きっとないと思うから
opus
午後の特別授業は
・恋と愛について
彼女は言う
「恋は諦められるけれど
愛は挫けることはない」
恋はさなぎで
愛は蝶なのだと
人気の消えた校庭
なぜ分かるというの
さなぎは蝶になるとき
何もかも
変わってしまうというのに
あなたとわたしのこと
なぜ分かるというの
Journey in to Chapter II
第2章へ続く
Chapter II
一つの光景
あなたの暮らす街
あなたが選んだ道を
わたしも一緒に進みたい
この空の果てをも越えて
あなたに辿り着きたい
指先が触れた思い出も
届かないほど遠い場所でも
あなたがこれから
暮らす街のどこかで
あなたの刻むメロディーが
流れる場所があるのなら
タイムマシン
地平線の向こう
白亜紀を夢見てる
6600万年前
タイムマシンで
行けたらいいのに
そこには
四重奏があるのかな
叶わなかった
アンサンブル
2人の夢が
叶う未来が
あるのかも
しれないね
別れの旋律
夜の北校舎
サクソフォーンの音色
噛み過ぎのアンブシュア
あなたなのね
4階に続く階段で
冷たい壁に頬をあてた
グリンカの夜想曲
別れの旋律
夜の北校舎
あなたなのね
噛み過ぎのアンブシュア
どれだけ涙を流しても
コモドの発想記号
もうあなたに
会うことはないのね
朝の光
あなたに会いたくて
偶然を装い
わざと遠回りの
私鉄に乗った
あなたはいつも
7号車に乗ってくる
あなたを待った
ついこの間までの過去
今はもう
朝の光に溶けて
跡形もないというのに
わたしは今も
私鉄に乗って
7号車で
窓の外の光に
目を細めてる
クロール
そして海に出る
まぶしい日射しの中
クロールで進む人波
あなたが奏でる旋律は
もうどこにもないけれど
いくつもの偶然が
あなたとわたしをつなぎ
いくつもの偶然が
あなたとわたしを遠ざけた
でもきっと
きっと歩いていける
蛍の光はまだ
聞こえていないから
別れの言葉はまだ
聞こえていないから
fin d’un début
ある始まりの終わり
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