恋を温めていく

恋を温めていく
恋愛詩集

two birds

出典: unsplash.com

止まり木を岬のようにして


着地とはじまりを重ねる


鮮やかなスタッカート


二羽の鳥が舞う


交互に羽ばたいて


軌跡は自分のものにして


時折、相手を見やる


空をついばみながら飛んで行く

蜃気楼

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魂には形がないって


いつか君はいいそうだけど


私には見える


愛の形をそれとしていい?


2人が寄り添うとね


ソーダ水みたいにはじけて


コップのふちに


新しい街が見える


蜃気楼の影に隠れたものを


浮かび上がらせる 引力

フロート

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賑わう通りの路地を少し入れば


街のボリュームは絞られて


心の中のざわめきが響いてくる


カラン カラン


たくさんの時を重ねた喫茶店のベル


カラン カラン


溶けたフロートのグラスを滑る雫


何もかも進んでいくけど


何もかも閉じ込めたい

ニアリーイコール

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誰もいない教室


愛 ≒ 君


そんな方程式を黒板に


ブーゲンビリア色のチョークで


書いては消していた


ホロホロと削れるピンクで


君に伝えたいことたくさんあるの


だけど言葉にならなくて


I ≒ YOU

箱庭

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太陽を少しだけ分けてもらって


季節を知らせる花が


かわるがわる顔を出す


そんな小さな箱庭


天使が覗きにきても


気がつけないようなこの場所で


お互いの名前を歌にした


私の孤独の形にピッタリと寄り添う


君の声は


夜になれば月明りを呼んでくれる

寂しさを埋めるための恋と
孤独を癒し合う恋は
きっと全然違うと思うよ。
君の声は私の気持ちを
いとも簡単に言葉にした

Journey in to Chapter II
第2章へ続く

Chapter II
一つの光景

素粒子

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ただ歩いて


たまに手をつないで


ふいに口ずさんだ歌詞の続きが


思い出せなくて


なるべく検索しないで


思い出そうよって


笑って


街灯の下で、言葉じゃなく


明日を約束し合う


すごくシンプルな 答え合わせ


素粒子のソリューション

フォレルスケット

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春隣の頃に


君の名前を初めて呼んだ


あの喫茶店の前で


桜色の風が吹く


そういえば花には音がない


揺れ方やその香り


クスクス笑っているみたいだ


そんなことを思うたび


早く君の元に駆けていきたくなる


ちゃんと私が見た世界を


伝えられるように


何度も言葉を推敲するのに


君の笑顔の前では


無敵にも無力にもなれる

骨伝導

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距離。


速さと時間を掛けた単位


つがいの鳥が


気遣い合いながら飛ぶ速さと


2人が少しずつ重ねてきた


時間を掛けてみる


歩いてきた距離は


こんな風に求めればいいかな


私と君の間の距離は


骨伝導で声が聞こえるくらい


数式に当てはまらない


箱庭のヘクタール

願い

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2人が手を取り合える


この世界を愛したい


トパーズみたいに透き通る


空に向かって


自然に沸き起こる


静かに脈打つ感情を


忘れないでね、って保存した

恋を温めていく

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君が私の手を引く


私は君の背中を押す


時には飛べそうなくらい


絡まりながら歩いて


距離も時間も速さも


ただ未来に向かっているものだって


ちゃんとわかりながら


恋に浸っている


恋を温めていく

fin d’un début
ある始まりの終わり

一かけらの今

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あなたに告白するのは きっと 恋の終わり あなたをあきらめることは きっと 恋の始まり 思い出だけ それでいいの いつかは今が コワくなるから

プロフィール

relation

about

うれしいって本当は、悲しくてつらいこと

かなしいって本当は、やさしくてあたたかい

小さなバラの雨が、今日も明日も降って

心は涙になる
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