手を広げて

恋愛詩集
手を広げて

空が落ちてくるほどの自分勝手な絶望

やさしいあなたを 誠実さから 遠ざけたくはないから ガラスの家をつくる 誰にも見えないように ひっそりと内側に 熱情を押し隠して あなたとあの子の 帰り道 わたしだけが知っている 道端の花の誠実さ あなただけが知っている 小さな木の実の鮮やかさ これは自分勝手な絶望 空が落ちてくるほどの

手を広げて

苦しいときはいつも隣りにあなたがいて

時間差攻撃のトゲトゲに 打ちひしがれ うつむいて立ち止まったとき 小さく愛しい灯火が消えて 張り裂ける痛みを知ったとき 言葉にできないふがいなさに 音にならない叫び声をあげたときも 苦しいときはいつも 隣りにあなたがいたから その手を掴んでしまったのは 悪くないよね?

さよならをするために生まれた
手を広げて

さよならをするために生まれた

わたしと別れてあなたは 新しい恋を見つけたと聞いたわ 悲しみに暮れるわたしは 嬉しくて笑ったの 本当によかった わたしを忘れてくれること ただ幸せだった 思い出してもくれないこと きっとこれからは さよならをするために生まれた 生きていくなら 幸せにならなきゃ さよならをするためにわたしは 大事なものを失って すごく幸せ さよならをするために そのために在る

手を広げて

すべての一瞬がある場所

あなたと 一緒になった帰り路 横断歩道の真ん中 シャツの袖口 そっとつかんで 「もう少し一緒にいたい」 何を言っているのだろう 心臓が破裂しそうで 一瞬がこんなにも長く感じるなんて あなたはやさしく微笑む 「また明日」 横断歩道を渡っていく 背中を見送った 横断歩道から横断歩道までの たった100メートル それがここにある わたしのすべて