記憶の再生
恋愛詩集
永遠に続く海
メロンソーダを飲んで
車の窓を開けて
真夏の風が
わたしと彼を包み込む
待ちに待った
ドライブデート
永遠に続く海
地平線にキスをした
一輪の向日葵とわたし
彼の笑顔は
向日葵のよう
わたしは太陽で
その向日葵を
ずっと照らし続けたい
一輪の向日葵とわたし
誓いを交わした
最後の思い出
赤信号で
止まるたびに
彼は
キラキラした瞳で言った
「明日から、ずっと一緒だね」
夏の最後の思い出が
幕を閉じた
記憶の停止
雷雲が押し寄せる
耳を裂くようなブレーキ音
ガラスが割れて
私の記憶は停止した
どれだけ泣いても
彼は戻ってこなかった
光さえ
一輪の花さえ
線香の煙に見えた
わたしと向日葵との
誓いは
叶わなかった
時間は
凍り付いたように
止まり
光さえ失った
Journey in to Chapter II
第2章へ続く
Chapter II
一つの光景
闇
いったいどれくらい
戸を叩く音を聞いただろう
わたしは光から逃げていた
ずっと閉ざされたカーテン
ぐちゃぐちゃの心を
どこにもぶつけられなくて
闇と闘って
繰り返し
地球は回り
朝を迎え
夜を告げる
この繰り返しに
ただただ身を委ねた
誓い
わたしの心を
停止させた日
もう一度
あの夏に誓いを交わした
向日葵に会いに
冷たい風が頬を刺す
夜明けに堂々と咲く
向日葵のように
太陽を待つ
繰り返される波の音
真っ暗な空が
次第に淡いブルーになる
三日月
うっすらと姿を見せ
太陽を待つ
今(ここ)にしがみつくものは
何もない
あたたかな風
テーブルと
ベッドと
白いカーテン
カスミソウを飾った
あとは何もいらない
そう思った瞬間に
カーテンが
ふわっと舞った
あたたかな風が
わたしを包み込んだ
窓の外に
青空
あの日と同じ
やさしい青だった
fin d’un début
ある始まりの終わり
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