新しい二人
冬色
冷えきった夜空
冬色の街の灯
寒さも忘れて
ふたり一緒に過ごした
心通うと
あたたかくて
ただただ嬉しかった
彼と交わした口づけ
冷えきった唇
あたたかくなって
やっぱり嬉しくて
二人抱き合いながら
冬色の恋に落ちた
ギフト
花柄のオーガンジーバッグ
たくさんの思い出を詰め込んで
ひとり含み笑い
計り知れない
幸せを手に入れて
どこまでも続く
笑顔をもらえた
それなのに
心のどこかで
寂しさが居座っている
そばにいればいるほど
愛されれば愛されるほど
寂しさがこみ上げてくる
すれ違う二人
部屋のあちらこちら
無造作に放置された服たち
メイクも落とさずに
灯りも点けずに
冷たいベットに横たわった
渇いた瞳
わたしの中に
何度も現れる彼の姿
すれ違う二人
もうこれ以上
恋人でいることは
できないのかな
残酷な風
カーテンの隙間から
流れ込む冷たい風
今のわたしには
こんなのがお似合い
あなたと出会い
あなたと別れる
仕方のないこと
わかっているけれど
あなたを思う気持ちは
消えないまま
カーテンの隙間から
流れ込む残酷な風
誰かわたしを
ここから連れ出してほしい
未来心の丘
あなたは
大理石の庭園を
歩いていく
わたしは
なぜだかうまく歩けない
あなたはずっと
ずっと先の方
あの時
わたしはあなたが
振り返って
手を差し伸べてくれる
そう思っていたんだ
わたしはあなたに
甘えていたんだ
Journey in to Chapter II
第2章へ続く
Chapter II
一つの光景
ポストカード
コンビニでプリントした
二人で撮り合いっこした写真
ポストカードにして
小さな空き箱にしまっていく
二人して覗き込んだカメラ
笑顔の写真
いつしか二人でいることが
当たり前になって
写真は撮らなくなった
小さな空き箱の中は
あの日から止まったまま
二人が離れてしまわないように
願いを込めて
わたしはまた
シャッターを押した
冷たい手
あなたの手は
氷のように冷たくて
わたしは思わず
手を離した
手放したくない
近くにいたくて
終わらせたくない
好きでいたくて
あなたの手の冷たさが
わたしへの愛なのだとしたら
……
わたしはふいに
手を離した
彼の心を溶かすこともできずに
手を離してしまったんだ
異国のバス
おろしたての
コンバース
きっとこれから
わたしを異国へと
導いてくれる
きっといつか
ごめんなさいって
言えると思う
だから今だけは
わたしは異国のバスに乗り
知らない場所を彷徨うの
もしあなたのもとへ
帰ることがあるのなら
あなたに伝えたいわたしのこと
たくさん
たくさんある
日々
泡のように
浮かんでは
はじける日々
あの頃は
あなたに会って
あなたと話して
一緒にいることが
普通だったのに
少しでもいい
少しでもいいから
声を聴かせて
あなたの頬に触れたい
流れるように
終わる毎日
いつもあなただけを
想っている
新しい二人
川は流れて
海に辿り着く
夢は漂いながら
未来へ辿り着く
あなたを想う気持ち
形は変わっても
輝き続ける
今までも
これからも
ずっと、ずっと
深呼吸をして
新しい二人に
なれそうな気がした
fin d’un début
ある始まりの終わり