過ぎてゆく隣
![過ぎてゆく隣](https://hitokakeranoima.com/wp-content/uploads/2021/05/800-5505318_800.jpg)
かくれんぼ
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いつでもあなたは
見つけてくれた
毛布の中
クローゼットの隅
学習机の下
どこにいたって
私を
見つけてくれたね
あなたは
覚えているというけれど
私は
今もまだ
続けているのよ
気づかれないように
かくれんぼ
愛しいもの
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幼い手のひらに
キャンディーひとつ
それだけで
飛び上がるほど
嬉しかった
あなたからもらう
小さなプレゼントの
ひとつひとつが
私にとっては
何もかも特別で
愛しいもの
今も
変わらないよ
口に含ませたのは
柑橘の香り
空を失くして
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初めて地下鉄に乗った
空を失くして
戸惑う私を
あなたはからかった
怒ったふりをして
少しだけ
不安になる
私の知らないあなたと
はぐれないように
手を繋ぐ
あなたの知らない私に
なっていたら
ちょっと怖いな
かすかに
震える指先は
速度計の針みたいに
目的地はまだ遠く
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流行曲が
街に奏でられて
人は足早
飲み込まれそうな
スクランブル交差点
忙しない日常が
当たり前になってしまった
あなたの歩みも
私を
置いてゆきそうなくらい
何度も
振り返ってくれるのは
昔からだったかな
それとも
私のためじゃないのなら
悔しがればいいのかな
目的地はまだ
遠く
恋する乙女
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甘い物ばかりを
舌にのせていたい
午後三時
今日だけは
許してください
願いかけるほど
大したことではないけれど
私の隅々まで
もっと
もっと甘くして
うんと甘くして
そこに
ショートケーキの苺をのせて
酸味を少し加えたら
恋する乙女の
出来上がり
Journey in to Chapter II
第2章へ続く
Chapter II
一つの光景
冷たい風
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あなたにふさわしく
変身する
魔法を
誰でもない
あなたにかけて
もらうんだ
ドレスじゃなくたって
ティアラもなくたって
私が望まなくたって
あなたがかけてくれる
魔法で
私は
あなたの
お姫様になる
冷たい風が
そうさせたんだから
きらきら
![](https://hitokakeranoima.com/wp-content/uploads/2021/05/2785296_800.jpg)
都会の夜が
まぶしいことを
目の当たりにして
くらくら
あなたの暮らす日常を
平常心でいられない
私がまだ
子どもだというなら
少しくらい
思い切ってみても
あなたは
受け止めてくれるかな
綺麗だねって
きっと私に
向けた言葉じゃ
ないけれど
綺麗だねって
繰り返すのは
あなたに向けた
きらきら
私はどこに行けばいいの
![](https://hitokakeranoima.com/wp-content/uploads/2021/05/655616_1500-1024x768.jpg)
今日が終わらなければ
ずっと
夢見心地
夕空は
ずっと続いていて
あなたは
ここにいたんだね
私は
どこに行けばいいの
教えてほしいわけじゃなくて
永遠という
便利な記号を
刻み付けてほしくて
裾を引っ張る
いじらしいでしょう
今日だけは
私だけ見ていて
またね
![](https://hitokakeranoima.com/wp-content/uploads/2021/05/5780_1500-1024x683.jpg)
またね
小さい頃に言った
あれは
約束
またね
何度でも
言いたいけれど
もう言いたくないな
またね
どうしたって
胸につっかえるんだ
だけど
私は必ず
守るからね
約束
またね
過ぎてゆく隣
![](https://hitokakeranoima.com/wp-content/uploads/2021/05/5318_800.jpg)
懐かしい香りが
ずっと
そばにあること
離れてから
気づいてしまうの
私の隣
あなたの隣
そこにあるのは
熱を帯びた何か
もう一度
離れてしまえば
気づかされるのだろう
二度とない夜を
過ぎてゆく
私の隣
あなたの隣
fin d’un début
ある始まりの終わり