同じふたりの分かれ道
似たもの同士
ぜんぶ分かるけど
ぜんぶ同じだよ
ふたりのシーソーは
傾いたまま
うまくいきっこない
寂しい目をしたあなたに
何をあげられるだろう
寂しい目をした私じゃ
バランスがとれないな
傾いたままの似たもの同士
電話の向こう
また落ち込んでいるの?
ほらこっちを見て
あれもあげるし
これもあげる
せいいっぱいの愛をあなたに
真夜中の長電話
安心して眠る呼吸に
耳をかたむける
途切れた音で目を覚まさぬよう
待っているよ
深くなるあなたの呼吸に
大丈夫だよ、と魔法をかける
鏡
笑顔が咲いて
涙の雨が降る
晴れない空に戸惑い
緑のステージで踊ろう
あなたと私は
いつも一緒で
きっと心も同じだから
白と黒をくり返す
鏡のふたり
灰色のない毎日を過ごそう
その温かい
大きな手を離したくない
隠れんぼ
心配性なあなた
困らせるのが好きな私は
わざと人ごみに隠れんぼ
背の高いあなたは
すぐに私を見つけて
もう離れぬようにと
ぎゅっと手を握る
心配そうに怒る顔を
ずっと覚えていたくて
目の奥にしまいこむ
いつまでも私を見つけてね
あなたを試す隠れんぼ
観覧車
ありきたりだけれど
心が弾む
まあるい魔法の時間
なんてことのない街並も
キラキラ輝いて見えた
まあるい愛の時間
なんてことのない空間に
心が溢れてキスをした
一枚の写真に残る
恥ずかしそうに笑うふたりと観覧車
Journey in to Chapter II
第2章へ続く
Chapter II
一つの光景
揺れる
本当は私も寂しくて
足りない何かに気づいていた
あなたの声がほしくて
眠る大きな背中に顔をうずめる
いつか終わるこの時間を
受け入れる心の隙間をつくる
それでも向かい風が多いから
どうかひとりだと思わないで
どうかひとりにしないで
=
このまま過ごしていても
平行線だと頭ではわかっていて
あなたは私と同じ
壊れる前に手放す癖がある
大切に大切にしてきた形や時間を
それ以上にもそれ以下にもできなくて
失ってしまうのなら
きれいなままさようなら
あなたは私と同じ
傷つきたくなくて傷つける人
知りたくないのに
分かってしまう似たもの同士
あなたのばん
先に手を離したのはあなただった
私を置いて隠れんぼ
いつもは見つけてくれたのに
探す勇気もない私は立ちすくむ
あなたが決めて進んだ道を
追いかけることも
去ることもできず
もう随分ここに居たから
足がしびれて動けない
いつかくる今日のために
つくった心の隙間も
全然役に立ちやしない
分かれ道
最初から傾いていたから
あなたが降りても平気だった
何度か鳴る電話
もう役目はおしまい
どうか強く生きてほしいと
デコボコだらけのこの道に
あなたの無事を祈る
ひとりでもふたりでも
孤独な私たちの
別々の道
ふたりの形
久しぶりに会うあなたは
相変わらず背が高くて
頼りない大きな背中
寂しそうに私を見る
あなたはあなたの道を選んで
私は私の道を進んだ
交わらない平行線
もう観覧車には乗れないけれど
今もずっと似たもの同士
傾いたままの愛をあなたに
きっと分かっているよね
ぜんぶ分かっているよ
fin d’un début
ある始まりの終わり