花のように

花のように

水曜日、午後3時に

フレンチシックに合わせた 白のオペラシューズ けだるい体を捻じ込んで 今日もルーティン 「いつもの」はまだ 口にできず なめらかなオーダーは 決まってフレンチロースト 幾度も星が巡って 馴染んだ香りを連れて 伊達メガネの先に広がるのは 偉そうに重く構える戯曲 ここでいつも待ってる 戻ってくるのを待ってる わたしと彼と同じ ガラクタが見つけるのを待ってる

花のように

いつかあなたを見つけたい

もし生まれ変わったら あなただってわかるように 目印を付けていてね 初めてのデート あなたの後ろ姿 見とれていた 高い空に スッと流れ星 追いかけるようにふたつ ポストカードのよう あれが目印だった あなただという 合図だった もし生まれ変わったら わたしはあなたを 必ず見つけるわ

花のように

わたしに残る物語

あなたと続けた 旅の終わり あと少しで 終点に着くのだろう 進んできた道のりを 戻る強さもなく もしまた同じ駅で会えたなら 違う二人に なれるのかな 終点前に ひとり降りる 告げるサヨナラ 「平気だよ」と わたし 心に嘘をつく もしまた同じ駅で会えたなら 本当のことを 伝えられるのかな

花のように

おわって、そして、はじまって

息をするのも苦しくて 干上がった魚のように みっともなくもがいてみる 私を見て笑ってる あなたはヒドイ人 こんなにも苦しいのに うれしそうに笑ってる 冷たい水に溺れても 身体は熱を帯びるばかりで 楽になりたくて顔を上げても あなたは離してくれそうにない どうすればいい? あなたの側は心地よくて 酷く苦しいの