恋愛詩集

恋の始まりと、恋の終わり。終わらない始まりと、ある始まりの終わり。
それが恋愛詩集です。
恋が叶っても、恋が叶わなくても、それは世界でたったひとつの物語。
恋する気持ちが終わることはありません。
あなたの勇気が、一かけらの今を、切ない恋の詩を彩ります。

恋愛詩集

恋愛映画はみずいろの結末

わたしの目に映る 冷たい景色 後悔が胸を刺す 記憶も約束も 不確かなまま 波にさらわれて 恋心は 月の港を漂う 運命だった ぜんぶぜんぶ インディゴブルーに 消えていく 逃げるように 隠れるように 愛されたいの わたしは あなたを愛して この水の底に 沈んでもいいの

恋愛詩集

数えきれぬ旅立ち

伏し目がちな横顔 ふわりと香る洗い立てのシャツ 遠くで鳴る始業ベル 木々のざわめきに抱かれ 世界の音が消える 数えきれぬ旅立ちに あなたとふたりきり ただ空の中だけでは どうか優しいぬくもりを どうかこのまま伝えてね 夜に願うのは 穏やかな余韻 朝には笑えるように 少しだけ踏み出せるように

恋愛詩集 いつかあなたが笑いながらアパートのドアを開けてくれる気がして
恋愛詩集

いつかあなたが笑いながらアパートのドアを開けてくれる気がして

あなたが住んだアパートに 来週行ってみませんか いつもの路地を通り過ぎ 夕暮れの中を二人きり この街の匂いと あなたの肩の匂いと わたしはただそれだけで 明日への勇気が持てました 二人が離れた今になっても わたしは希望を捨てられません いつかあなたが笑いながら アパートのドアを開けてくれる気がして

同じふたりの分かれ道
恋愛詩集

同じふたりの分かれ道

久しぶりに会うあなたは 相変わらず背が高くて 頼りない大きな背中 寂しそうに私を見る あなたはあなたの道を選んで 私は私の道を進んだ 交わらない平行線 もう観覧車には乗れないけれど 今もずっと似たもの同士 傾いたままの愛をあなたに きっと分かっているよね ぜんぶ分かっているよ

ただあなたを捕まえたいだけ
恋愛詩集

ただあなたを捕まえたいだけ

光の中へ わたしたちは往く 科学の進歩も 文化の発展も 関係ないね 前時代的な恋を したいだけ そのために わたしは巣をつくり あなたを捕まえる 超古代の叡智かもね 寡黙なスナイパーは わたしには向いていない 蠱惑のスパイダー 柄でもないけれど もしかしたら 現代的かもね ただ あなたを 捕まえたいだけ

恋愛詩集

北風のファンファーレ

北風のように出会い 太陽のように別れた 突風のように連れ去られ 春日のように静かで 明日からの地図は まだ白紙のまま ここからどこへ 進めばいいの どこまでも 吹き付ける風 どこまでも 消えない光 夜に隠れる道すじを ひっそりと 地図に描いた あなたはもういないのに

恋愛詩集

おわって、そして、はじまって

息をするのも苦しくて 干上がった魚のように みっともなくもがいてみる 私を見て笑ってる あなたはヒドイ人 こんなにも苦しいのに うれしそうに笑ってる 冷たい水に溺れても 身体は熱を帯びるばかりで 楽になりたくて顔を上げても あなたは離してくれそうにない どうすればいい? あなたの側は心地よくて 酷く苦しいの